Prologue

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だけどダメージは見えない所に出ていたようで、2軒目に寄ったバーで死ぬほどヤケ酒して死ぬほど酔った。 この時、家にどうやって帰ってきたかも分からないのに、帰巣本能って素晴らしいもので、きちんと家にたどり着いていた。 「気持ち悪…」 ふらふらとしながら自分のマンションの前に着くとバチンッ!と思い切り何か叩かれた音が聞こえて顔を上げる。 綺麗な男の子が綺麗な女の子に叩かれている。 その時の私は、うわあ、私もあのくらいやっても良かったかもなんて考えていた。 人の修羅場を目撃しているのに酷く冷静で、こんな時でも自分のことを考えている。 いや、冷静じゃなかったからこんな考えになったのかもしれない。 「樹希なんて、大嫌い!どうせ金出してくれる都合いい女としか思ってないんでしょ!」 そう泣き叫ぶ女の子の声が頭に響く。 酒に酔った状態であの声はキーンとする。 「あー、いや。そんな事ないって」 苦笑いしながらヘラヘラとしている男の子。 そして目が合ってしまった。
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