33話 魔獣の情報

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33話 魔獣の情報

 そう言えば、こんなチャンスは滅多に無いよな……ダンジョンの事を聞いておきたい。 「あの……聞きたいことがあるんですけど。大丈夫ですか?」 「ん〜? 今の時間帯は、暇だから良いわよ? 彼氏ならいないわよ?」  えーと……ふざけてるのか、真面目に言ってるのか分からない。笑顔で言ってるので真面目に言ってるっぽいけど……どう反応したら? 「あの……ダンジョンの事を聞きたくて」  どう答えて良いのか分からず、スルーをして聞きたい質問をした。すると少しガッカリした表情で答えてくれた。 「ダンジョン? どこのダンジョンかしら?」 「ここから北の先にあるダンジョンで、幻のダンジョンと呼ばれているらしいのですが」 「そのダンジョンの詳しい情報は、無いわね。そこに向かった冒険者は大抵、帰ってこないのよ……。帰ってきた冒険者は、全員が冒険者を引退しちゃうわ。情報を得ようと尋ねても、答えてくれないし。恐ろしい魔獣が居るという事だけは、分かったわ。よほど怖い目にあったのね。それと依頼難易度のランクは、SS級の超高難易度ね……。Aランクの冒険者が太刀打ち出来ない程なの。まさか……これから向かうつもりとか? 絶対に、やめておきなさいよ! まあ……そもそも、そこは見つからないらしいけどね」  もう、そこには行ってきちゃったんだけど。そんな難易度だっんだ? てことは、他はもっと大した事ない感じなのかな? 初めに超高難易度のダンジョンを、ラクラクと攻略しちゃってよかったのかな……? 「あ、はい。やめておきます。その……シャルが、あの噂を流した女の子のパーティの向かったダンジョンの情報は?」 「あー東のダンジョンね。そこなら大丈夫だと思うわよ。でもね、あそこのダンジョンは広いのよ。現れる魔物や魔獣は、たいしたことないんだけど、そこそこの数が出るのよ。だから装備は整えてからね。難易度は、中の下って感じかしら……。冒険者ランクだと、装備を整えてあるCクラスのパーティが挑める感じね。攻略は、無理だけれどね……広くてね」 「そうですか。あのそれと……3魔獣って何ですか?」 「それね! さっき話しをした幻のダンジョンに出る魔獣がその1体ね。他のダンジョンに現れるわね。西の方のダンジョン、南の方にあるダンジョンかしらね……やめておきなさいよ? Cクラスの、あなたが討伐できる相手じゃないわよ」  受付のお姉さんが、真剣な表情をして注意をしてきて話を続けた。 「幻のダンジョンに現れるという魔獣は、オオカミ型の魔獣で恐ろしい姿をしていて、睨まれると動けなくなるそうよ。で、そのまま食い殺されるという話ね」  ……うん。その通りだったな。倒しちゃったから、もう現れないと思うけどね……。やっぱり噂の魔獣は、アイツだったのか。 「それと、西の方のダンジョンに現れる魔獣も、同じオオカミ型の魔獣で魔法を使うらしいわ。それで低知能だけど、知能があるから厄介なの。連携を取ってきたりするらしいわ。南の方のダンジョンにも、同じオオカミ型の魔獣ね。情報によると、追いかけてくるらしいわ。巨大でAランクの冒険者が5人でも抑えきれないって聞くわ。魔法も通らないと聞くわね……。情報はこんなものかしら。大体、こんな魔獣が現れたら戦おうとせずに、逃げることね。倒して名前を広めようなんて考えちゃダメよ!」  やっぱり倒すと、名前が広まるのか……。それは、勘弁して欲しい。そんな事は望んでもいないし。 「はい。勿論です。いる場所を把握をして、近寄らないようにしようかなって……」 「そうだったの! てっきり情報を聞いて、討伐に行くのかと思っちゃったわよ……ウフフ。安心したわよ。冒険者って名前を売りたいって人ばかりで……何人も帰ってこなかったのを見ているしね」  悲しい表情で俺の顔を見つめてきて、俺の手を握ってきた。   「ホントに近づいちゃダメよ! まだ若くて優秀なんだから、いくらでもチャンスも成長もあるんだから。無理をして、自分からキケンに近づく必要は無いわよ」 「はい。そのつもりは無いので、安心して下さい!」 「はい。約束ね!」     「色々と情報を、ありがとうございました! また来ますね」 「待っているわよ」    受付嬢のお姉さんにお祝いを言われ、更に心配までしてもらいご機嫌に帰宅した。  ある意味シャルのお陰で、ギルドのお姉さんと仲良くなれて感謝だな。今日の事を知ると、シャルが悔しがって怒り出す姿が想像できて笑ってしまう。  拠点の近くに転移をしたので、説明が面倒なので笑いを堪えて落ち着いた頃に帰宅した。   「ただいまー」  ただいまと言っても、返事が無かった。それにリビングにも人気がなく、静まり返っていたので焦った。  ……あ。そっか二人共寝てるのか……眠そうだったしなぁ。それにしても超高難易度のダンジョンを、意外とラクに攻略が出来たな。他のダンジョンも同じ様な感じだったら、少しガッカリかな……あれ? 俺は、何を求めているんだ? 平和に静かに暮らす、スローライフを目指していたのに。いつの間に冒険者になって、ダンジョンの攻略を目指してスリルと好奇心を求めてたわ。危ない、危ない……  ソファーに横になり、いつものように寝転がって考え事をしていたら眠りについていた。
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