10話 拠点を魔改造

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10話 拠点を魔改造

 アリアが嬉しそうに言ってきた。家具まで揃ってるって少し違和感があるな……。何かあった家なのかな? 普通は引っ越すなら家具も持っていくだろ。まぁ……引っ越しの記憶は前世の時の記憶だから、この世界での常識じゃないかもしれないな。  ただ運ぶのが大変で、家具を置いて行くのが普通だとしたら納得もできるし。引っ越し先に家具があるなら持っていく必要もないってことなのかも。    「へぇ〜ソファーにキチンに箪笥にベッドまであるのか」 「掃除をしてたけどキレイだったよ」   「そうだ。俺は、ここに泊まっていくわ。夜に魔獣が活発になるしなぁ〜」   「あ〜ズルいぃ〜わたしも泊まるっ」   「いやぁ……親の許可を取ってからにしてくれよ。俺は一応、冒険者になって一人前として自由に行動を出来るけどさ」   「むぅ……わかったぁ……ううぅ……」    アリアが、残念そうにムスッとした表情をして頬を可愛く膨らませて掃除を続けていた。仕草が……いつ見ても可愛い。   「ま〜許可が取れたら、明日にでも泊まれば良いんじゃないか? しばらくは、俺ここで暮らすつもりだし」   「そうだね。うん。分かった♪ 依頼だしね〜」   「明日も、同じ場所に時間に迎えに行くからな? それで良いかな?」   「はぁ〜い♪ あ。ユウくん夕飯は、どうするの?」    あ……。全く考えてなかった……。まぁ……買い溜めしたパンと昼の残りがあるし大丈夫だろ。   「何とかなるかな。大丈夫だって」   「もぉ……何とかって、我慢する気でしょ〜? ダメだよ。ちょっと待っててね、作っちゃうから〜」    ドアをノックする音が聞こえてドアを開けた。そこには、銀髪の少女がカゴを抱えていて、カゴの中には野菜と肉が入っているのが見えた。   「んっ!」    ムスッとした顔で、持っていたカゴを突き付けてきた。    そんなに嫌なら断れば良いのに……。でも、育ててもらっているなら断れないかぁ。    少女はムスッとした表情だったが、部屋の中をキョロキョロと見回し、目をウルウルとさせて何も言わずに走って帰っていた。   「ユウくん? 誰だったの〜?」    キッチンからアリアが聞いてきた。少女から突きつけられたカゴを受け取り、キッチンへ向かいアリアへ渡した。   「村長から食料の支給だと思うよ」   「わぁ〜野菜にお肉だ。こんなにいっぱい貰えるんだ……明日から頑張らなきゃね!」   「だなぁ」    テキパキと必要な分だけを使い、余った食材は収納に仕舞った。   「うん。よし、出来たぁ〜♪」   「ありがとなぁ」 「じゃあ……わたし、そろそろ帰るね……」   「そんなに、寂しそうな顔をするなって。普段と変わらないだろ? 明日の朝に迎えに行くって」   「うん。約束ね!」    転移でアリアの家の前まで送り、アリアが家に入ったのを確認してから転移で帰宅した。帰宅をすると、改めて自分の家だと実感してきた。    大きい家に一人居るとドキドキ、ワクワクしてくる…… これって、俺の家なんだよなスゲェ。何をしてても怒られないし、邪魔もされないぞ……最高じゃん。  ちょっとした趣味で、魔石を使った魔道具を作るのが好きだった。だけど家だと親にバレちゃうので、なかなか出来なかった。その趣味を隠れずに堂々と出来ると思うと嬉しくなってくる。  さっそくキッチンのカマドを改造しよっと。まずは……カマドの中キレイに洗浄をして。かまどの中に魔石を嵌めてファイアの魔法を付与をさせてオーブンにするか。  次に……カマドの上部にオーブンで使った同じ魔石をはめ込み、魔石を前世の記憶にあったコンロをイメージしてレバーで火力調整を出来るようにした。  これで薪に火を点ける手間、薪を入れる手間と薪を拾う手間と薪割り手間が無くなり、更に薪の保管スペースも必要なくなったぞ。  他に手間が掛かるのは〜水だよな……。どうしよっかな……  しばらく部屋の中を彷徨き考えた。外に出て取り敢えず水のタンクをイメージをしてブロック製のタンクを作り、タンクの中に魔石を設置をして、魔石にウォーターの魔法と防汚を付与させた。魔石に水が触れると停止させるイメージを付与させた。  パイプは作れないか……? あ! そう言えば……この世界にも竹に似た植物があったよな……? しかもここは森に近いし。  夜中の森に入りライトの魔法で辺りを照らすと、魔獣が反応して集まってきた。材料集めのついでに魔獣の討伐や戦闘と言うよりは、魔獣の体内の魔石を転移で回収をして終わりなので魔石集めだった。探していた筒状の植物を回収して転移で帰宅をした。  さてと〜作業を再開しよっと。    筒状の植物を設置して粘土も回収していたので、繋目に塗り水漏れ防止をした。最後の仕上げに石化の魔法で筒状の植物が石化をし粘土も石化した。    完璧だなっ。あぁ……。このままじゃ水が出っ放しだよ……この量の水を止めるには、蛇口しかないかな? だとしたら具現化スキルを使うしかないか。  材料は……大量に持っていた猛獣の牙で良いか、丈夫だし色も白で光沢があって豪華っぽいし強度も十分だし。    蛇口の構造も理解していて、イメージ出来るので問題なく具現化出来てパッキンの部分はスライムの魔物を加工してパッキンにした。  タンクの吐出部分に木の栓をしていたのを転移で除去して蛇口を開けると、プシューと空気が勢い良く吹き出てしばらくすると水が勢い良く吹き出した。    よし! 成功。これでキッチンで洗い物が出来るし便利だな〜水汲みが無くなって良い感じだな。あとは〜排水か〜排水は、もう適当で良いや……    裏庭の地中に大きな空洞を作り、作った空洞の中に転移で移動をした。空洞の中をライトで明るくし、周りを石化魔法で強度を強化して底部分は、そのままで排水が地中に染み込む感じにした。    あとは排水パイプを設置してお終いっと。  落ち着く暇もなく、次の作業に取り掛かろうと考え出した。  ぷはぁ〜疲れたぁ〜。そう言えば夕飯も食べずに夢中になってた……。もう夜の10時くらいかな。あ、あと保存庫を作っとこ……  キッチンに木製の箱を作った。それを設置をして魔石を嵌め込んで、異空間魔法を付与をして異空間収納が出来るようになった。熱々の物は熱々で、冷たい物は冷たいままだ。肉も野菜も腐らず新鮮なままで便利だろうな。  ついでに冷えた物も欲しいしなぁ……  隣に同じ様な物を作り、冷蔵庫を設置しておいた。
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