11話 ネコ耳少女

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11話 ネコ耳少女

 アリアが作ってくれた料理を、収納から取り出し盛り付けていると……。外でガタッと音がした。扉を開けると、そこには銀髪のネコ耳の少女がいた。玄関の近くの壁に寄り掛かり、座りウトウトしていた。俺に気付くと一瞬だけ気不味そうにしてムスッとした表情に変わった。 6b84e823-fa90-41ea-8483-ec52053cb12e   「そんな所にいないで、家に入るか?」   「ふんっ」    そっぽを向きチラッチラッと俺を見ていて、昼間のように逃げる気は無いらしい。って事は、もっと強引に誘って欲しいのか……?   「はぁ……良かったら家に入れよ」   「仕方ないわね……入れば良いんでしょ」  仕方無さそうに家に入り、キョロキョロ部屋を見渡しながら歩き回り嬉しそうにしていたが。   「わっ……な、何してるのよ……これ!?」   「あ~。それキッチンを使いやすくしたんだけど?」   「はぁ? わたしの……思い出のキッチンだったのにぃ~もぉ……ばかぁ……」   「悪い……やっぱりお前の家だったのか?」    家具が揃っていて、この家の場所が森に一番近くだし。魔獣が襲うとしたら、この場所だろうな。わざわざ危険な森に、家族全員で入るわけ無いし、襲われるなら家だろうな。それに壁に怪しい補修された跡があるし……   「そうよ! わたしの家だったのっ! だから元に戻しなさいよっ!」 f7c32dde-e48d-42c0-9ddb-ff3fbf3faf02    銀髪のネコ耳の少女が、涙を流し訴えてくる。だが悪いけど、所有権は俺になっているし戻す気はない。 「お前、腹減ってないか?」   「ううぅ……ぐすんっ。お腹、減ってない!」 「そっか……俺は夕飯が、まだなんだよな~。一緒に食ってくれるか? あ、一緒に食べるぞ! ほら」  お腹が減ってないと言う割には、さっきからお腹が鳴っているのが聞こえているし。チラチラとテーブルに並んでいる、アリアの作ってくれた料理を見ている。   「……うん。わかった。一緒に食べれば良いんでしょ!」    散々、文句を言ってスッキリしたらしく少しは素直になった。 「わぁ~! 美味しい……これっ!」   「な。美味いな~」   「うん♪ 美味しい~」  ご機嫌そうになったので、色々と話を聞いてみたい。悪いやつじゃなさそうだし。困っているなら助けてあげたいかな。     「お前、飯ってどうしてるんだ?」   「ん……? えっとぉ……今の家は、居づらくて逃げてきた。夜は食べてない!」   「そっか~」   「うん。家に戻れとか言わないの~?」   「居づらいなら仕方ないだろ~? 戻ってもツライだけだし」    いきなり家族を失って、知らない家族の中に入れられても居づらいだろうしな。   「お前って、料理は出来るのか?」   「うぅ。できない……」   「掃除は?」   「むぅ。やったことない……」   「洗濯は?」   「はぅぅ。できない……ごめんなさいぃ」   「は? あ、別に出来なくても良いんだけどさ。なんで謝るんだ?」   「え? 料理を食べたし、働かないと……でしょ?」    あ~そうなんだ? 今、そうやって食べさせてもらってるのか……。俺も同じ様な事を、考えてたんだけどなぁ……。  料理とか洗濯をしてもらって、その代わり食事に部屋を与えようかと。理由をつければ、居づらさが無くなるとと思ったんだけどなぁ。  何も出来なくても本人が、ここに住みたければ自由にしてもらって良いし。今、何も出来なくても徐々にでも手伝ってくれれば良いかな。それが今後、自分の為にもなるんだし。   「まぁ……ゆっくり覚えれば良いし、ここに一緒に住むか?」   「え? 良いの!?」   「良いんじゃないか? 自分の家だったんだろ?」 「……うん。ありがと……! 料理とか覚えるっ! 色々と手伝うっ」    まずは……臭いをどうにかしたい……。ネコだから水が苦手とかなのか? でも、他の人はキレイにしていて臭わなかったけどな……?   「ちょっと魔法を掛けるけど良いか?」   「え? 何するの? 痛いのは、いやぁ……!?」    魔法と聞いて、怯える表情で目を潤ませた。   「ただ体をキレイにする魔法で痛くないって」 「……うん。わかったぁ……良いよ」  銀髪のネコ耳少女に手を翳した。洗浄魔法を掛けると、体をお湯が覆い、汚れを分解洗浄をした。それが終わると風魔法で体が包まれ、乾燥されサッパリキレイになり仄かに甘い良い香りがした。 「わっ。すごいっ!なにこれ~♪良い匂いになってるっ」   「そう言えば、まだ名前を聞いてなかったな。俺はユウヤ」   「わたしは、ミーシャだよ。えっと……ユウちゃん?」   「うん。宜しくな、ミーシャ」   「うん♪ よろしくぅ~ユウちゃん♪」   「夜も遅いし、そろそろ寝ないとだな。ミーシャの部屋は、どこなんだ?」   「こっち、こっちぃ~♪ ユウちゃん、付いてきて~♪」    嬉しそうに俺の手を握り、家を案内をしてくれた。部屋に入ると、女の子の可愛い部屋だった。ベッドもそのままあり、直ぐにでも使えそうな状態だった。一応、洗浄魔法でキレイにしておいた。   「キレイにしておいたから、そのまま寝れると思うぞ」   「ありがと。ユウちゃんは、どこで寝るの?」  ミーシャは、さっそく自分のベッドに入り、幸せそうな表情で聞いてきた。  え?どこでって……どこで寝れば良いんだ? ベッドで寝られればありがたいけど。ミーシャの両親の部屋だろ?俺に寝られるのはイヤかもしれないし。とりあえずはソファーでも良いけどな。     「俺は、どこで寝れば良い?」   「えっと……それはユウちゃん家なんだから、好きな所で寝れば良いよ~わたしと一緒に寝る? 良いよ。ほらぁ」    銀髪がキラキラと輝き、透き通る青い大きな可愛い目で見つめられドキッとした。布団を捲り入ってこいとアピールしてくる。   「いや。俺は……ベッドがある部屋を勝手に見つけて寝るよ」    慌てて答えてしまったが、両親のベッドで寝られても抵抗は無いようだった。    「そっか……お休みなさいっ♪」   「おやすみ~」    ソファーで考え事をしていたら寝てしまった。    翌日……   「ユウちゃん……起きて~! 朝だよ~ユウちゃんっ」    聞き慣れない可愛い声で起こされた。あれ? ここは……? ん? 誰だ? うわぁ……可愛い……ネコ耳だ……   「うわ。……あぁ、ミーシャか……」   「わぁっ。ビックリさせないでよぉー。ソファーで寝たんだ?  ベッドで寝ないとダメだよっ」   「そういうミーシャは、昨日の夜は外で寝ようとしてたっぽいけどな?」   「ううぅ……」    目を逸らして気不味そうにしていた。えっと……まだ7時か……朝食を作るか。と言っても肉を塩コショウで味付けをして、焼くくらいしか出来ないけど。それにパンと、昨日の残りのスープで豪華な朝食だろ。   「わぁ~! 美味しそう。お肉~♪ お肉~♪」   「味は期待するなよー」   「ん? 美味しいよー♪ ユウちゃん、料理も出来るんだースゴーイ!」    自信が無かった料理を、美味しそうに食べてくれてミーシャに褒められて嬉しい。  おおぉっ。自分でも上手に出来てると思う、美味いじゃん。俺に料理の才能でもあったりして? とか、つい思ってしまう。
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