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3話 新パーティの結成。
翌日から、シャルが遊びというか、冒険の誘いに来なくなった。
恥ずかしいのか……嫌われたのか? それとも……俺のレベルを気付かれた? 魔物の大量の討伐がバレた? はぁ……。まぁ……友達はシャルだけじゃないし良いけどさぁ……でもシャルより、仲が良い友達は居ないけどさ。
仕方なく村を彷徨いていると、1つ歳下のアリアが一人で寂しそうに家の前の道に座り込んで、地面に木の枝で絵を描いていた。
「アリア〜暇そうだな?」
「あぁ〜ユウくんっ! わぁ〜いっ!」
駆け寄ってくると、抱き着いてきて可愛い。アリアは魔法の覚えが良く、魔力量も多くて頭が良いので同じ歳くらいの友達から避けられていて一人で居る事が多かった。
「ね〜ユウくん。一緒に遊ぼう?」
「良いぞ〜」
シャルが誘いに来ない時は、一緒に遊んでいて懐かれていて。いつも一緒に遊んでいると甘えてくる。俺も、そんな甘えてくるアリアが可愛くて好きだ。
それに俺が魔法のレベルを合わせているのが、魔法の得意なアリアだ。大体の魔法の強さを参考にして基準を合わせている。
それにアリアは、魔法攻撃、防御、支援、回復と珍しく何でも使えて、低級から中級レベルの魔法を使える。
周りの大人から一目置かれているせいか、友達から距離を置かれているので、優秀すぎるとこうなっちゃうんだよな。
「今日は、何をする?」
「ん〜何でも良いよー。ユウくんに任せる〜」
「アリアは、魔法が得意だし、森に行って魔獣の討伐をしないか?」
「……良いけど。森の奥までは、行かないよ〜?」
うわぁ。何だろ……。この安心できる感じ、新鮮で落ち着くな。いつもは、それは俺が言うセリフだし。
「分かってるって。アリアとは、初めて組むしな〜」
アリアとは、村の中にある広場か空き地で遊ぶのが殆どで、討伐というか森に入るのは今回が初めてだ。なのでお互いの実力を知らない。
「うん」
「お互いの実力も分からないしな」
「うん。でも……ユウくんなら、安心だな〜♪」
アリアと歩いて森へ向かっていると、途中でシャルが他の男子と遊んでいるのが見えて、イラッとしてきた。俺がシャルに、ヤキモチを妬いてるみたい……でイライラするし気になり……つい顔に出てしまう。
「ユウくん? 大丈夫? 怒ってる? わたし何かしちゃったかなぁ?」
「あ、ちょっと嫌なもの見ちゃって……アリアのせいじゃないから。ゴメンね」
何だよ。シャル冒険者になるとか言っておいて、自分は男子の友達と楽しく遊んでるのかよ……。それって冒険者になる事を諦めたのかよ。って事は……俺は一人か……? アリアをパーティに誘えば、来てくれるのかな? とは言えアリアの歳が13歳になるまで、1年は待たなきゃ正式に冒険者パーティを組めないからな。
でも……魔術士だけのパーティって、どうなんだろ? あまりき聞かないけど……大丈夫かな? 前衛がいないのは、ちょっと不安かな……
森へついたが、アリアも魔法の練習とレベル上げで何度も友達と入ってるらしく、緊張をした感じも無く落ち着いていた。
「大丈夫か?」
「うん。大丈夫だよ♪ ユウくんと一緒にいるからかなぁ……」
隣にいるアリアが、俺を見て微笑んで服の袖を掴んできた。
頼られている感じがして嬉しくなり、俺も微笑み返した。
「魔術士だけのパーティだな」
「うん。だね〜。わたし初めてかも……いつもは、剣とか槍を使う人が前衛で守ってくれて、安心だったんだけど……大丈夫かなぁ……?」
「ま、いざとなったら、転移で逃げれば大丈夫でしょ! 俺がアリアを守るし」
アリアが守るという言葉に反応して、頬を赤くして抱き着いてきた。
「ユウくん……。ありがとぉ〜っ。うん! 頼りにしてるー♪」
アリアに、頼られて少し照れるなぁ……。俺の転移スキルは村の人、全員が知っているから隠す意味がないし。今回は暇つぶしのお遊びだし、適当に遊んで帰ろっと。
「危険になったら、逃げようなー」
「無理をして、戦う意味は無いしねっ」
森に入り、魔獣が現れるとアリアが魔法を平然と放ち、ボシュ! ボシュ! ボシュ! と、やたらと早い速度でクーリング無しで、連続して魔法を放っていた。
ん? あれ? アリア……? 詠唱は? 俺も詠唱ナシだけどさ。確か、かなり上級の魔術士のスキルだよな……? それに……クーリング時間は!?
普通は、魔法を放ったら次の魔法を放てるまでのクーリングタイムが存在する。それに魔法の種類によっては、放てるクーリングタイムの時間が違う。強大な魔法や上級魔法は、より時間が掛かる。
今回、使用しているのは低級の魔力弾だが……多少はクーリングタイムが存在するんだけど。それ以前に詠唱していなくないか??
「な〜アリア? ……詠唱は?」
「あ、忘れたっ! ユウくん……内緒ね。他の人に言わないで……また引かれちゃう」
俺の指摘にアリアが驚いた表情をして、一瞬固まっていた。苦笑いをして気不味そうに、「内緒ね」と可愛く言ってきた。
「ふぅ〜ん……」
そんなアリアを見て俺は、ニヤッと笑った。
「……ユウくんっ! 変なこと考えてる? なにその笑い〜?」
「アリアさ……一緒のパーティに入ってくれない?」
「……良いよ。でもユウくんパーティは、他に誰が居るの?」
あれ? すんなりと受け入れてくれた? もっと困ったり、悩んだりするかと思ってたのに。
「……俺と、アリアだけだけど……良いかな? 魔術師二人の珍しいパーティになっちゃうんだけどな」
「うんっ。入る! 入りたい!! やったぁ~♪」
え? おかしなパーティだから、少しは嫌がるかと思ってたけど……? だって魔術士だけのパーティだよ? しかも二人だけだけど……良いのか?
遊びに行く友達を決めるのとは違う。パーティを決めるのは、命を預け、命を預かる相手を決める事なので、簡単には決められる事ではない。しかも少人数の2人だけという編成だ。普通は5人パーティが一般的で、少なくても3人は必要だ。
「え? 良いの? 俺と2人だけだぞ?」
「うん。ユウくんと一緒なら安全だし……仲良しだし!」
「そっか……脅そうなんて考えてゴメン」
そんな無邪気というか、笑顔で言われると……弱みを掴んで脅かして、パーティに入ってもらおうと考えていた自分が、恥ずかしくなってくる。半分、ダメ元だったし……本気で脅そうなんて、全く考えてはいなかったけどね。
「え? あ、良いよ〜それだけ、わたしが必要って思ってくれてたんでしょ? 少し嬉しいかもっ♪ 普段は、そういう事をする人じゃないの知ってるしー!」
ん……俺を良く思い過ぎじゃないかな……まぁ実際に脅したり、悪意のある騙したりした事もないけどさ。
「それに村の子供で、わたしと同じくらいの魔法を使えるのユウくんだけだし」
なんだかアリアとなら仲良く、冒険出来るかもな……優しいし、大人しいけど頼りになるし……無茶をしないし。
俺も魔物の討伐に参加をして、パシュッ! パシュッ! パシュッ! と連続で魔法を放つとアリアが、え!? という顔で見つめてくる。
「ユウくん……? ユウくん詠唱は? えへへ……♪ わぁ……おそろいだね〜♪」
アリアが、にこっ♪ と微笑み、俺も無詠唱だと知ると安心したのか、バシュッ! バシュッ! と魔法を無詠唱で放ち、魔物を討伐して前衛が必要ない珍しいパーティが結成された。
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