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2人の間に机はあと3つしかない。
飛高はせっせと机の中を覗いている。
芽依は、この距離感にとうとう耐えられなくなり、わざと一つの机の中を丁寧に探して時間稼ぎをした。
ダメだ・・・近付いちゃう。
芽依が机の前にしゃがんで、頭の上でお湯を沸かせてしまえるほどに赤く火照った顔を隠していると、飛高が叫んだ。
「あった!あったよ、櫻井さん!」
芽依はそっと顔を出す。
「良かったですね、見つかって・・・・」
そうは言ったものの、芽依は今それどころじゃない。
こんな真っ赤な顔、恥ずかしくて見せられないよ。早く帰らないと。
「じ、じゃあ、私帰ります。先輩、さようなら」
「櫻井さん!?」
芽依は音楽室を飛び出し、無我夢中で生徒玄関まで走った。
まさか、また飛高先輩に会えるなんてっ。
あのノート、絶対に予言ノートだわ。
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