一つの顔、二つの記憶

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 山田は、椅子の背もたれに身を預けた。 「あの子、私のことを天使って言ってたわね。天使か悪魔かなんて、善か悪かの違い。判断する人間によって善か悪かなんてひっくり返る。 要は、神にとって都合がいいかの違い。 私は、菅原の脳に手を加えて、全てを実行させ、自白をさせた。他人の記憶を破壊する人間の作製、初期化もせずに一つの脳にふたりの人格を入れる実験、記憶を破壊した脳の正常化。すべてが楽しかった。だから、私は悪魔? 違うわ。私こそが神なのよ」 了
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