聖なる会堂

1/1
前へ
/15ページ
次へ

聖なる会堂

 今宵(こよい)、空に月なく星々は(さや)か。我が一族の男たちは※『迷い星たちの導き道』が聖なる山の(いただき)に現れるのを、その(ふもと)から見届けた。  星明りの(もと)、我らは(こぞ)って聖なる会堂の(せい)(さん)(しつ)へと移動する。  そこには一族の伝統料理を盛った皿がところ狭しと並ぶ食卓が整えられている。一族の「(とど)まる者たちの群れ」の女たちが丹精込めて作ったものだ。  ここは(いにしえ)より西アジアの砂漠に(たたず)む我らが聖なる会堂――。  (おんな)()どもらはサンダルを脱いで別室に控えている。もう今頃は敷物の上に車座になって、寛いで食べているはずだ。 ※(あま)(がわ)のこと。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加