8人が本棚に入れています
本棚に追加
我が一族は遺伝的に、あらゆる感覚が鋭敏である。例えば目。視力に問題はないが、毎日容赦なくかんかんと照り付ける太陽の眩しさに弱いのだ。
日中、出かける際には真っ黒なサングラスが欠かせない。室内にてサングラスを外せばアーモンドのような形の切れ長の目が露わになる。
ヨーロッパではこのアーモンドアイが「異国情緒をかき立てる」として、一部の者たちの目には堪らなく魅力的に映るらしい。
もし彼らが我が一族の者との婚姻を望むなら、彼らは自分の神を捨て去り、我らが夫婦神だけを崇拝する事を誓わねばならぬ。
口髭に黒眼鏡。人相が悪く見えがちだが、これも宿命と受け入れている。
こんな風体でも仕事の腕は確かなので、サングラスや口髭を理由に仕事を解雇された者は一人もいない。
この事実も口髭と共に我が一族の誇りである。
聴覚も鋭敏で、「地平線上のラクダのくしゃみが聞こえる」という言い回しがあるほどだ。眠る際にはもちろん、耳栓必須である。
最初のコメントを投稿しよう!