Prologue

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Prologue

私、紫月 優羽には一人の幼馴染で恋人が居た。 付き合った時はなんとも緩い始まりだったと思う。 気温の高さでまだまだ気だるさを感じる夏休み、特にやることもなくて幼馴染みの結城 瑞希に呼び出されて部屋に行った時だった。 部屋を訪れ様子を見れば、ベッドで伸びている顔だけは格好いい幼馴染み。 「…瑞希、何のつもり」 「あ、ゆうちゃん。下から冷たいお水もってきてー。もう動けない」 家が隣だからか、瑞希はこうして雑用をわざわざ連絡して呼び出して言ってくる。 「(本当に腹が立つ男…!)」 「自分で行った方が早いでしょ!」 そう怒りながらも昔から世話焼きの癖が染み付いていてお願いされたら思わず従ってしまう。 理由はそれだけじゃなくて、この男、何を言っているのかわからないと思うけど時々赤ちゃんの様な無垢な可愛さを見せつけてくる。 そんな可愛さにいつも抗えなくて瑞希の言う事を聞いてしまうのだ。 下から水を持ってくると、瑞希がムクッとベッドの上で体を起こして「ありがとう、ゆうちゃん」と緩い笑顔を見せている。 くそ、可愛いなと思いつつ水を持っていくと、口を『あ』と開けて「飲ませて」と言ってくる。
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