かりもの

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 内定式の時に初めてみた彼の第一印象は、柔らかそうな茶色の髪の毛でタッパのあるカッコカワイイ感じ…思うにゴールデンレトリバーの様な彼。自己紹介の様子を見ていると人当たりのよさそうな優しそうな感じ…そんな彼にビビッ💓ときた私は、内定式後の懇親会でたまたま一人になった彼に思い切って話し掛けてみた。 「あの…水田さん」 「はい、なんですか?田川さん」 「今、ちょっとよろしいですか?」 「…はい、よろしいですよ」 いきなり話し掛けた私に少し驚いた様子の水田さん。更に驚かしてしまうなぁ…と思いながら続ける。 「内定式であなたを見てビビッときました。あなたに一目惚れしました。私と付き合ってもらえませんか?」 「えっと…僕にビビッとですか?…えっと、それで初対面で付き合ってほしいと…。これまたえらいストレートにきたねぇ…正直びっくりやわ」 「…ですよね…びっくりさせてすみません💦💦でも、ビビッときたんです!あなたを見てビビッと!!…私もこんなん初めてで…戸惑ってますが、今言っとかな!と思ったんです」 前のめりの私にちょっと引き気味の彼が、私を見てうーん…と何か思案中。そんな様子の彼に、いろんな意味でどきどきしながら、出方を待つ。 「あんな、田川さん」と彼に呼ばれて、背筋を伸ばし、直立不動になる。 「僕、いちよう何人かのコと付き合ったことあるんやけど…」 と話し始める水田さん。 (やっぱそうやんなぁ…ゴールデンレトリバーやもんなぁ…。あっ、彼女いるんか聞くの忘れてるわ…)話を聞きつつ頭の中でぼやく。 「僕な、自分で言うのも何やねんけどすっごい奥手で、それが原因で付き合ったコと長続きしいひん。だから、いきなり付き合うのと違って、先ずはお試しで付き合って、奥手の僕のこと知ってほしいんやけど…どう?」 彼からの提案にもちろん「はい!」と答えた私。 ーーーーー そして、お試し期間を得て付き合って約一年…。彼が言った通り、彼はかなりの奥手で、未だに手しか繋いでない。しかも普通繋ぎ。恋人繋ぎに憧れる今日この頃…。 (奥手にもほどがあるっちゅーねん!人並みと違っていい。でも、もう少し先に進みたい!って思う私は間違ってるか?ううん、間違ってへんはず!付き合うこと自体が初めての私やけど、この場合、彼に任せてたらチューするまでに棺桶に足突っ込んでそう…これは私の方から積極的に行かんと!)と変な気合いエンジンがかかる。 ーーーーー  恥ずかしいと思いながら友達に相談すると「ちょっと待っててや…確かいいものが…」と言いながら、部屋を出る友達。一人残された私は、出してくれたお茶菓子と玄米茶を楽しむ…。 🍵 🍵 🍵 「あったーーー!これこれっ!」 と大きな声が聞こえてきて、ドタバタドタバタ廊下を走る足音がして、友達が部屋へ戻ってきた。そして「はい!」と言って渡された、雑誌のページがホッチキスで綴じられた手作りの冊子。 「なにこれ?」 「なにこれ?って、私の手作りの本“恋の手ほどき♡イロハニホヘト”。高校二年の時、あらゆる雑誌を買って読みあさって、必要な所だけ破いて作ってん。私の手作り恋の実践バイブルや!これむっちゃ役に立つし貸してあげるわ!無期限で!」 ーーーーー それから三ヶ月後…。 私はあの友達が貸してくれた“恋の手ほどき♡イロハニホヘト”をクリアーファイルに入れて郵送するのに大きな封筒に入れる。そして同封する手紙を書く。 ✉️恋の実践バイブル“恋の手ほどき♡イロハニホヘト”ありがとう!むっちゃ役に立ったで!…それと私…実は…ムフッ…授かってーん😆✉️
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