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パライソ
此処は透き通るような水の中のパライソ。
水面から差し込む光に照らされ、泳ぐ海の生きものたちの世界。
ミルキーピンク色のサンゴで出来た薄い宝石棚がある。
黄色と黒の縞模様を身に纏った、鋭角のヒレをもつエンゼルフィッシュが周りを囲む。
まるで誘い込まれるよう様に、次々と宝飾のような魚が引き寄せられていく。
その様子を、海の中の巨大なクモのような大きなハゼがちらっと見つめる。
白黒の大きな刺を悠然とくゆらせ泳いでいく。
白く細長い網目のようなサンゴに絡んでは遊んでゆく、青白い群魚。
「ああ、なんて愛おしく綺麗な世界だろう」
私から、思わず感嘆と本音が唇をついてでる。
ラッパ状のパッションピンクサンゴに、若草色の海藻が側で寄り添う。
その長い手を使い、周りに集まる魚の背を撫でてゆく。
銀色の大魚が、器用に尾びれを操りながら、腹を金銀の鈍色コインのように光らせ視界を遮っていった。
その腹の下を潜り抜けてゆく小さき海の民衆たち。
名も知れぬ海の宝物がこの水槽に、生きたまま惜しげもなく表装されている。
「ああ、今すぐにでもこの服を脱ぎ捨ててこの中に入り込めたらいいのに」
水槽に掌を押し付け、ただただ眺めている私を皆が追い越してゆく。
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