2,相対

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14時だったが学校をサボることにした。  早速、餌を見つけた犬のごとく、この不確かで面白そうな話をお土産に怜司に会いに行く。  彼の部屋の前に着くなり、ノックをすると彼が部屋に入れてくれる。 「あんたの学校生活はどうなってるんだよ? 」 「べつにー、つまんないよ? 適当に勉強してるだけ」  授業中に真面目に勉強をしていたことに驚かれる。 「あんたの事だから、退屈して窓でも見てるかサボってるかだと思った。しかもクソ真面目に何を調べてるんだよ? 」 「分からない、何となく思いつきで」  調べた事を書いたノートを見せると、 「何を表しているのだろうな? 特に意味があるとは思えない。  けれど意味が繋がってくるところが、さすが天才空海の作る所以だな」 「そうでしょ? どこをどう切り取っても何かしらの意味が出てくる」 そう興奮気味に茉莉花が言う。    このノートを二人で5分も見ていただろうか。  けれど、茉莉花は、怜司がそわそわと視線の先が携帯をちらっとみている事にきづいた。 「怜司は何をしていたの? 」  携帯をいじりたい様子だったので何を調べているかが気にかかり、聞いてみる。 「ああ、株だよ」  株と聞いても、大人が損をする様な印象しかない。  儲ける人は、儲けているのかもしれないが。  市場は常に、自分より貧相で運の悪い獲物を探している。  誰かが得をすれば、誰かが損をする。  人間は、よほど他人の幸せを吸い上げたい生き物なのかもしれない。   「今は円安ってずっとテレビで騒いでる」  それを聞いて、彼はしかめっ面をする。 「そうなんだよ、もういくら俺の財産溶かしてくんだよ」  そう言いながら、怜司は憂鬱そうにクッションに顔をうずめる。 「見せてよ! それ」 「つまんねーぞ? 」 「良いから」  携帯を受け取ると、茉莉花には瞬時に数字の動きが見え始める。
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