1、絶対

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「どうしてそんなことがわかるのよ」  そうムキになり反論する。  私の頬が高揚し薄赤く染まっている。  自分でも顔が熱いのが分かる。 「あんたがそんな目をしていたから。  人生が窮屈でたまらなくて、ここから抜け出したいと全身が訴えていた」  「……」  私の口は開こうと、直径3センチの「お」の形に唇がなっているが、続きが紡がれることは無い。  反論の仕様がないからだ。  余りの本質をついた言葉に思わず絶句してしまう。    目にうっすらとだが、透明の液体がたまりはじめる。  だが、ここでいったん冷静になるため深呼吸を始める。  そのお陰か、なんとか睫毛に涙の粒がのることは無かった。    窓から風が吹き込み、カーテンが大きく膨らむ。  途端に、潮騒の香りを運んで部屋に満ちるてくる。  一拍あけると、優しい声でこう聞こえる。 「だから、あんたをこの緊急避難所に連れてきた」  そういうと、この男は、大磯 怜司と名乗る。  今年27歳になるのだという。  私の前に来て屈み、目を見つめてくる。  私はときたら、大きな勘違いをしたことを謝るべきか、まだ警戒するべきか迷っている。  思わずふいっと目を背けてしまう。
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