1、絶対

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そうして、続けて聞いてくる。  「あんたは何から逃げているんだ? 」  彼の持つアイスコーヒーから、濃い豆の匂いがする。 「え? 逃げる?」  思いもよらない言葉に、私の目が点になる。 「人生か? 退屈さか? 人間か?」  缶を長い指で持っている。  その指の隙間から水の雫が垂れた。  私はソファーの上で膝を抱えると、ここに至るまでの原因に思考を巡らせる事にする。 「焦らなくていいから、ゆっくりと喋れよ」  そういうと、どっかりと隣に腰かけてくる。  距離が近い、彼の体温が伝わってくる。  尚も、私は思考の海の中に漂っている。    すると、彼は携帯を取り出す。  先程の画像を眺めている。  隣に座わる素のままの17歳の女の子である自分をまじまじと見比べているようだ。 「不思議だな、さっきのあんたは20歳を超えた大人びた表情をしていたのに」 「今なんて、高校生そのものにしか見えない」  そう私を見つめて、感想を述べてくる。  幼い私では、彼の欲望からしたら不足なのかもしれない。   「さっきの続きをしようか。今度は海の前に立ってくれよ」  と彼は言う。  いや、それとも、私と言う新たな何かの刺激が欲しいのかもしれない。
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