はじまりの物語

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その言葉を聞くと不満なのか 女性は考えるように黙りこむが まだ純粋さが残っている子供たちは気づきもしない。 「……………」 そして子供たちは続けて、 それは楽しそうにこう言った。 「もぉ、お姉ちゃん!それも皆知ってるよ!」 「王様は誰より優しいんだ!」 その答えは正解だ。 その答えを言えば母親には褒められ、 テストに出てその答えを書けば満点だろう。 例え異常が紛れていてもそれは、 王様が日常へと変えてしまったのだ。 この狂ってしまった世界でこれから 何十年も生きなければならない 彼らや彼女らにとってはこれが日常でしかない。 「………そうね。」 女性はやっと口を開いたかと思えば 否定するでもましてや褒めるわけでもなく ただただ、悲しげに細く笑った。
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