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第70話 二人きりの湯けむり、繋がる鼓動
リュカがエリナの背中を洗い終えると
二人は湯船に向かい
自然と手を繋ぎながら湯に浸かった。
ほんのりと湯気が漂う浴室の中で
二人の距離はごく近く
互いに顔を赤らめながらもどこか穏やかに微笑み合っていた。
「こうやってまた一緒にお風呂に入れるなんて
少し照れるけど嬉しい」
とエリナが少し恥ずかしそうに呟くと
リュカも同じく顔を赤くしながら頷いた。
「俺もだよ、エリナ
こうして二人だけの時間を過ごせるのが
なんだか特別に感じる」
二人はその言葉に自然と微笑み
湯船の中で手を繋いだまま
しばらく静かに語り合った。
湯の温もりが彼らを包み込み
心地よい沈黙が二人の間に広がっていく。
リュカはエリナの手を握りながら
そっと目を閉じ
心の中でこのひとときを大切に刻んでいた。
エリナもその手の温もりをしっかりと感じながら
リュカを見つめ
「…もう一回
こうしてお風呂で手を繋いで過ごせて
本当に嬉しい」
と微笑む。
エリナの瞳には
純粋な喜びと安心感が宿っていた。
リュカはその表情に少し照れつつも
「ああ、俺も
こうして、エリナと裸の付き合いができるなんて
夢みたいだ」
と返した。
二人は見つめ合い
しばらくの間
湯船の中で手を繋いだまま
その温もりを感じ合っていた。
やがてエリナは
ほんのりと赤くなった頬を隠すように視線をそらしながら
小さな声で言った。
「ねぇ……約束した通り
五分だけ
ギュッと抱きしめてくれない?」
リュカは
すぐに優しい笑みを浮かべて頷いた。
「ああ、もちろん」
その時
エリナはタオルをつまみながら提案した。
「2人とも、タオル外そうか
お湯の中だから
あまり見えないだろうし」
リュカもそれに頷き
「そうだね」
と同意した。
リュカとエリナは
湯船の中で身に着けていたタオルをそっと外した。
タオルは湯の中を優雅に漂っていった。
エリナの美しい裸体が
湯船越しにぼんやりと姿を現した。
リュカは
そのあまりにも刺激的な光景に
魅了されてしまった。
エリナはうっとりした目で両手を広げて
「じゃあ、ギュッと抱いて」
「ああ」
その言葉と共に
リュカはそっとエリナの肩に腕を回し
エリナを自分の方へと引き寄せた。
エリナも自然にリュカに体を預け
二人は湯船の中で静かに抱きしめ合った。
裸のエリナを抱くということは
服を着ている時とは違って
彼女の体の美しいラインが直接伝わり
しっとりとした肌がぴったりと
密着してくるということだ。
リュカはその瞬間
脳裏に強烈な幸福感が注ぎ込まれるのを感じた。
温かな湯の中で感じる互いの鼓動が
心地よいリズムで響き合い
二人の胸を穏やかな幸福感で満たしていく。
エリナはリュカの胸に顔を埋め
彼の鼓動をそっと聞きながら
静かな安心感に包まれていた。
「こうして抱きしめてもらってると
すごく落ち着くの……
リュカが隣にいてくれるって
こんなにも安心できるものなんだね」
リュカもエリナの髪にそっと触れ
「エリナがいてくれるから
俺もこうして安らげるんだ。
お互いを支え合えるって
こんなにも幸せなことなんだな」
と静かに言葉を返した。
リュカの言葉にエリナは微笑み
さらにリュカに身を寄せる。
お風呂の音が二人の周りで優しく響き
湯気が穏やかに立ち上る中で
ただ静かに抱きしめ合う時間が過ぎていった。
湯の心地よい温かさと
二人の鼓動が重なり合うこのひとときが
二人にとって何よりも尊く感じられた。
浴室の空間には静けさが満ち
湯の音が美しく二人を包み込んでいる。
「エリナ
こうしていると
まるで俺たちがこの世界に二人きりでいるような気がするな」
「うん……リュカとこうしていると
全てが穏やかに感じられるの
こんな時間がずっと続けばいいのにって
そう思っちゃう」
二人はしばらく互いのぬくもりを感じ合いながら
その言葉に頷き
静かな幸福感を共有した。
湯船の中で寄り添い
心が繋がっているのを確かめるようにしばらくの間
二人だけの空間に浸っていた。
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