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第11話 幼馴染と休息の時
リュカとエリナは
ようやく生贄が捕らえられている
部屋を見つけた。
暗い石造りの部屋には
24人もの人々が鎖に繋がれ
絶望の中にいた。
しかし
リュカとエリナが現れると
その場の空気が一変した。
「助けが来たぞ、聖剣士様だ!
勇者様もいるぞ」
一人が歓喜の声を上げ
次々と他の捕らえられた人々も顔を上げ
二人を見つめた。
その瞳には希望が宿り
部屋中に安堵と喜びの声が広がった。
リュカは急いで部屋に駆け込み
鎖を解き始める。
「皆、もう大丈夫です
俺たちがゴブリンたちを倒しました!」
エリナも鎖を解きながら
人々に優しい笑顔を向けた。
「よく耐えてくださいました
もう大丈夫です
私たちが
安全な場所までお連れしますので
安心してください」
その中に
一際目立つ若い男性がいた。
彼はしっかりとした体つきで
どこか強い意志を感じさせる
眼差しを持っていた。
イーサンという青年だった。
イーサンはリュカとエリナに
深々と頭を下げた。
「本当に……ありがとう
あなたたちのおかげで助かりました」
エリナは
リュカに感謝の眼差しを
向けながら言った。
「私も一人ではここまで来られませんでした
魔王の配下に追われ
逃げ続けていたところを
勇者リュカが助けに来てくれたのです」
エリナの言葉に
皆も次々と口々に
勇者リュカに感謝を述べ
場は歓喜に包まれた。
リュカは全員が無事であることを確認すると
「皆さん、大きな怪我はないようで安心しました
さあ、それでは行きましょう!」
すると
エリナは苦しげな表情を浮かべながら
静かに語りかけた。
「アステリア王国は
もう魔族の手に落ちてしまいました
この領域は今や魔族の支配下にあります
だから、ここからすぐに隣国の
ヴァルハイム王国へ逃げなければなりません」
人々はその言葉に驚き
悲しそうな顔をしたが
エリナの言葉に少しずつ覚悟を
決めていった。
「皆さん
私たちが必ず守ります
ここから安全に脱出して
新しい生活を始めましょう」
こうして
生贄にされかけていた人々は
リュカとエリナの導きのもと
新たな希望を胸に
隣国ヴァルハイム王国を目指す旅路に
出ることとなった。
4日後
リュカとエリナは
無事に生贄にされかけていた人々を
ヴァルハイム王国に送り届けることができた。
王国に入った瞬間
待ち受けていたのは温かい歓迎だった。
ヴァルハイム王国は
リュカとエリナが
アステリア王国から命懸けで人々を救出し
無事に連れてきたことを知り
彼らに深い感謝の意を表した。
リュート国王をはじめ
王国民は歓喜に湧き
二人を迎え入れた。
「リュカ、エリナ
あなたたちは本当に勇敢な行動をしてくれた」
リュート国王が言葉をかけ
彼らを称賛した。
「アステリア王国の地で
多くの命を救ってくれたことを
我がヴァルハイム王国は決して忘れない」
リュカは少し照れくさそうにしながらも
静かに頷いた。
「俺たちは必ず
皆さんの平和を守ります
そのためにも
必ず魔王を倒してみせます」
エリナもまた
王国民たちに向けて微笑みながら感謝を伝えた。
「救えた命があったこと
それが何よりの報酬です」
その後
リュカとエリナを称える祝福の儀式が行われ
二人は王国中の人々から感謝と賛美を受けた。
彼らの勇気ある行動は
ヴァルハイム王国だけでなく周辺の国々にも広まり
英雄として称えられるようになった。
2時間後
リュカとエリナは
国王が今夜の宿泊先として
手配してくれた宿舎に向かって歩いていた。
リュカはふと気になり
エリナに問いかけた。
「魔族に生贄として連れて行かれた人たちって
あれで全員なの?」
エリナは穏やかな口調で答えた。
「そうよ
もう誰も捕らわれていないわ
今回救出したのが24人だから
これで全員ね」
リュカはその言葉を聞いて安堵の表情を浮かべ
深く息を吐いた。
「そうか……それなら
あまり急ぐ必要はない
この王国で少し休息を取るとしよう
俺たちも随分と疲れているからな」
エリナも同じように微笑み返し
リュカの提案に頷いた。
「そうね
戦いの後は休息が必要よ
次の戦いに備えて
体力を回復させておきましょう」
こうしてリュカとエリナは
ヴァルハイム王国でしばしの間
平和な時間を過ごしながら
次の戦いに向けて力を蓄えることにした。
王国の温かい歓迎に包まれながら
彼らは新たな冒険への準備を始めていた。
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