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第4話 幼馴染と再会
リュカはゼファーに向けて全力で斬りかかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーッドドドド!!!!!!!!!
闇の力が混ざり合った強烈な一撃を
ゼファーはかろうじてかわすことができたが
右腕に深い傷を残した。
ゼファーは急所を外していたものの
腕に大きなダメージを負い
苦痛の表情を浮かべる。
「くっ……! このレベルでここまでやるとは……!」
ゼファーはリュカを見つめ
その顔にはこれまでの冷笑が消えていた。
今までゼファーはリュカを
ただの弱い人間だと侮っていた。
しかし
この一撃でその考えを改めざるを得なかった。
「貴様……やはり勇者か
なるほど……
その力は厄介だな……」
ゼファーはそう呟くと
一瞬だけ悔しそうな表情を見せた後
背後に闇の渦を発生させて
その中に身を投じた。
「だが
次はこうはいかない
覚えておけ
勇者リュカよ!」
その言葉を残し
ゼファーはその場から
逃げ去っていった。
リュカは一瞬
その後を追おうとしたが
全身が重くなり
動けなくなっていた。
最強スキル
『エクリプス・ノヴァ』
の発動で
MPをほぼ使い果たしていたのだ。
「はぁ……はぁ……」
リュカは肩で息をしながら
剣を支えに立っていた。
ゼファーを倒し切れなかったが
エリナを守ることはできた。
リュカの身体は限界だったが
戦いを生き延びたことに安堵していた。
その時
ふと視線を感じて振り返ると
エリナが地面に座り込んだまま
涙を浮かべてリュカを見つめていた。
「リュカ……」
先ほどの気高さとは裏腹に
危険な状況に直面したエリナは
恐怖で震えていた。
「助けに来てくれて……
本当にありがとう……」
声は震えていたが
危険から解放された瞬間
その表情には感動と安堵が溢れ出していた。
エリナの目からは
感謝の涙が流れていた。
リュカはエリナに駆け寄り
「無事でよかったよ」
と言って
すぐに回復アイテムを使った。
エリナは涙を拭きながら
リュカの強さを改めて感じた。
「リュカ
……本物の勇者になったね
昔から強かったけど
もっと強くなっているわ」
リュカは少し笑って
肩をすくめた。
「でも、まだまださ……
俺はレベルが低くて
まだ弱い
先ほどのスキルは連続で使えないし
ゼファーも倒せなかった」
しかし
エリナは首を横に振った。
「そんなことないわ
さっきのゼファーって男は
魔王直属の組織
『滅光騎士団』の団長よ
それを退けたのだから
あなたは本当に強いわ」
そういって
エリナが微笑んだ瞬間
リュカはエリナの笑顔がなんとも可愛らしく
思わず見とれてしまう。
(エリナって、本当に美人で可愛いよな…… 話し方も上品だし)
心の中でそう思った瞬間
自分の頬が赤く染まっていくのがわかった。
エリナが無事であること
そして再び彼女と再会できたことが
リュカにとって何よりの救いだった。
リュカはエリナに手を差し伸べ
彼女をゆっくりと立たせた。
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