27人が本棚に入れています
本棚に追加
第6話 幼馴染、魔王から逃げ続ける
突然
エリナは涙を浮かべながら
声を震わせて言った。
「リュカ…実は私
その滅光騎士団に追われているの
生贄にされている人々を助けようとしたら
魔王に目をつけられてしまって……
いま聖剣士として戦っているけど
本当は情けないことに
逃げ続けているだけなの」
エリナはその言葉を絞り出すように言い終え
肩を落として涙を拭った。
誇り高き聖剣士として戦ってきたエリナが
逃げている自分を恥じ
無力感に苛まれているのは明らかだった。
「だから…リュカ
お願い、私を助けて
あなたと一緒なら
きっともう一度立ち上がれるはず…」
その言葉を聞いて
リュカの胸は熱くなった。
リュカにとっても
エリナの申し出は救いだった。
リュカは勇者パーティを追放されて以来
一人でレベルを上げなくてはならず
孤独な旅を強いられていた。
しかし
エリナと一緒なら
再び仲間と共に戦える。
そして何より
幼馴染であるエリナを守りたいという
強い気持ちを持っていた。
リュカは深く息をついて
真剣な表情でエリナに言った。
「エリナ、分かった
俺も実は勇者パーティを
追放されてしまったんだ
一人でレベルを上げないといけない
状況だったんだけど
君と一緒なら戦うことができる
今日から
俺たちはまたパーティだ」
リュカは少し微笑んで
強い決意を込めて続けた。
「必ず君を守る
これからは
俺がずっと君の力になるよ」
その言葉を聞いたエリナは
驚いたようにリュカを見つめた。
リュカが追放され
一人で戦っていたことを知って
エリナの胸にも同じ孤独が浮かび上がった。
しかし
リュカが自分を守ると誓ってくれたことで
エリナは再び立ち上がる勇気を取り戻した。
「リュカ…ありがとう
本当にありがとう…」
エリナの瞳からまた一筋の涙が流れたが
それは悲しみの涙ではなく
感謝と希望の涙だった。
エリナはリュカの手を握りしめ
二人でこれからの戦いに立ち向かうことを誓った。
その瞬間
リュカは自分の中に確かな力を感じた。
追放され
孤独だったリュカが
今また仲間と共に新たな旅路を
歩み始めたのだ。
「行こう、エリナ
俺たちで滅光騎士団を倒して
故郷を取り戻そう」
リュカはエリナに力強く言い
二人は再び進むべき道を見据えた。
最初のコメントを投稿しよう!