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第76話 立ち上がる勇者、魔王の圧倒的な闇
魔王ルシファードが
戦場の中心で冷酷な笑みを浮かべ
右手を軽く振ると
その手のひらから黒い光の閃光が放たれた。
勇者パーティはその動きを見て瞬時に身構えたが
次の瞬間、黒い閃光が地を割り
彼らを包み込むように炸裂した。
「くっ……!」
リュカは咄嗟に両腕の盾を掲げ
闇のエネルギーを防ごうとしたが
圧倒的な力に押し返されてしまう。
その衝撃は強大で
リュカの体はその場に崩れ落ちた。
リュカの隣でエリナも何とか剣『セレスティアルブレイド』を構え直し
聖なる光で魔王の攻撃を防御しようと試みたが
その攻撃の圧力は想像を超えており
彼女の細い腕に容赦なく重さがのしかかった。
「なんてこと……これが
魔王の真の実力なの……?」
エリナは苦悶の表情を浮かべ
肩で息をしながら何とか立ち上がったものの
足元が揺らいでいた。
他の仲間たちも同じくその攻撃を受け
次々と地面に倒れ込んだ。
ガレスはかろうじて剣を支えに立とうとしたが
体は衝撃の余波に耐えきれず
崩れ落ちるようにその場に伏してしまう。
「ま……まだ戦える……!勇者パーティは……ここで終わりじゃない……」
ガレスは唇を噛み締め
体の震えを抑えながら立ち上がろうとしたが
魔王の力の余韻が体中に残り
動きが鈍くなっていた。
カトリーヌは炎の魔法を手にするが
その炎は魔王の闇のエネルギーに呑まれ
彼女の魔力は徐々に尽きかけていた。
「こんな
こんな力……私たちが相手にできるものじゃない……」
リカルドもまた
弓を構えようとしたが
彼の腕は先ほどの攻撃で力を失い
矢を放つことすらできない。
リカルドの視線は
前方に立つ魔王の冷酷な眼差しと交錯し
全身が恐怖に震えた。
「これが人間最強のパーティか?愚かで無力な生き物だな……」
ルシファードは一切の表情を変えず
静かに冷たい視線を彼らに向けた。
「だが……リュカ、エリナ
お前たちはまだ立っているようだな」
魔王は薄く笑いながら二人に視線を集中させ
その視線の先にいるリュカとエリナに凄まじい圧力がかかるのを感じさせた。
リュカは肩を大きく上下させ
荒い呼吸を整えながら
魔王を睨み返した。
「エリナ、戦えるか?」
エリナも同じように頷き
剣をしっかりと握り締めて返事をした。
「もちろんよ、リュカ
いつでも命令して」
二人は互いに目を合わせ
再び気を引き締め
体の奥から最後の力を振り絞り
魔王に立ち向かおうとした。
しかし
魔王はそんな二人の覚悟を嘲笑するように
手のひらをかざして闇のエネルギーを膨れ上がらせた。
「貴様たちがいくら立ち上がろうと
私には何の意味もない」
魔王は冷たく言い放ち
その手に闇の渦が巻き上がり始めた。
その圧倒的なエネルギーに
リュカとエリナは思わず体が後ろに反応するのを感じたが
それでも決して視線を逸らさなかった。
リュカは剣を構え直し
再びエリナと共に魔王へと向き直る。
「この世界を守るために……絶対にお前を止めてみせる」
魔王はその言葉に笑みすら見せず
「ならばその覚悟ごと打ち砕いてやる」
と言い放ち
再び闇のエネルギーを解き放つ準備を始めた。
その光景を目の当たりにしたリュカとエリナは
改めて魔王の本気の力を理解し
戦慄を覚えつつも一歩も引くことなく立ち向かう決意を固めた。
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