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天使と悪魔がホテルから出てきたのは、もう夜が明ける頃だった。
悪魔はすっかり疲れ切った様子だった。それに対して天使はすっかり雰囲気が変わっていた。もう天使とはいえないような妖艶な小悪魔の顔をしている。
「今日の話し合いはこれくらいにしてあげます」
「…ああ」
「また近いうちに話し合いましょう。今日のあなたの話し方ではまだまだもの足りません。まだ私が話してる途中なのに先に終わってしまうんですから。あれじゃあダメです。あれで満足する天使はいませんよ、いいですね?」
「わかったよ…」
「では」
天使は艶かしくウインクをして空に飛び立ち、あっという間に消え去った。
悪魔は疲れたため電車で帰ることにした。
始発が来るまでの間、駅の壁にもたれて座り、なんとか天使から逃れられる方法はないかと考えたが、まったく思いつかなかった。
THE END…
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