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栞のページに目が止まった。
「これは……」
あの日、あの人が持って帰ってきた花。
山歩きで何度か見た、何て名前だったかしら?私の本には何故かなくて。あの人が名前だけ教えてくれた。
「シラン」
よくある野草で、珍しくないと教えてくれた。だからダメにしたことは気にするなと。夫も後から知ったのだと言っていた。
ページをじっくりと読んで、私は嗚咽を漏らした。
なんだか悔しくて、情けなくて私は私の本のツユクサのページを破った。
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