あなたのお土産

2/12
前へ
/12ページ
次へ
 そこに出入りしていた土建家から誘われ、夫は経理で働くことができた。  建設会社として大きくなり、生活には困らず私は息子と娘をゆっくり育てることも出来ている。  うるさいことも言わず、子煩悩。 コツコツと働く。口数は少ないが、何より家庭を大切にしてくれる。  こうしてたまに「お土産」も持ち帰ってくる。  子どもたちも喜ぶような珍しいお菓子も他の家より多かった。  夫は眼が悪い、左目が眼鏡のレンズが歪むほど見えない。  私より年下で、徴兵の時に肺炎を起こしていて結核ではないか?と疑われ、山の中の病院にいて終戦を迎えたそうだ。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加