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引退
「じゃあな、俺は引退だ。和也、あと少し頑張れよ」
「おぅよ、それでまた山野高校で一緒に卓球部に入ろうな」
中体連は8月上旬の県大会で敗退し、部活を引退することになった俺宗介と幼稚園以来の親友和也。
和也は地域のスポーツクラブで卓球を続けるらしく、月に1〜2回ある市民戦や企業杯などの試合に参加するつもりらしい。
月謝はかかるが週に5回も練習出来るなんて、正直羨ましい。
俺はというと、この春から入塾させられた大手の塾、EIKAの特訓が待っている……。
夏の特訓から勉強に専念するという親との約束で、部活最後まで卓球に専念させてもらったのだ。後悔はない。
「だけど和也、本当に山野高校に入学出来るのか?この前の模試の自己採点は散々だったじゃねぇか」
俺が通う塾EIKAでは塾生以外でもEIKA主催の全国模試を受けることが出来る。
「宗介だって似たような点数だったじゃないか。大丈夫、俺には特別な勉強方法があるから絶対受かる」と得意げだ。
特別な勉強方法?睡眠学習とか、短期集中型とかそういう類か?
俺は週に2度塾に行っているにも関わらず、学校での成績も若干和也に負けている。
いやいや、俺はこれからEIKAで猛勉強し、憧れの元卓球選手である鈴村さんが卓球部のコーチを務める山野高校に楽々合格するんだ。
大好きな卓球を半年間我慢して……。
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