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特別な勉強方法
「嘘だろ……何で?」
親友に対して思わず出た言葉がそれだった。
学校の休み時間、教室の片隅で実力テストによる志望校判定を見せあった俺たち。
「いや、だからさ、特別な勉強しているって言っただろう」
俺は実力テストでも変わらずのB判定のど真ん中。
和也はというと、なんとA判定。しかもかなり上位で。
「特別って、一体どんなんだよ!授業中時々居眠りしてしまうくらい卓球の練習に疲れているお前が!」
そのため、俺に度々授業の内容を教えてくれとお願いしてくる和也。
和也はしぃっ…と口元で指を立て、俺を黙らせる。
「……誰にも言わないでくれるか?」
辺りを見回し、誰も自分たちの会話に耳を傾けていないことを確認すると、そっと顔を近づけて囁いた。
「俺、実力テストに出る問題を知っているんだ」
………?
「あぁ、あれか。よく本屋に売っている問題集か?実力テスト対策ってもの売っているのか?」
塾から「県立高校や受験する私立高校の過去問題集を買ってやってみろ」と言われているが、正直塾の宿題やテストで手一杯だ。
その上実力テストの問題までなんて、とてもじゃない無理だ。
「いや、違う。解答は無いが、問題そのものを持っているんだ」
「……本当にか?」
「あぁ。誰からとは言えないけど、3回分の実力テストの問題を貰ったんだ」
実は誰かに言いたくてたまらなかった、という顔。
「半信半疑だったけど、本当にそのままの問題が出て驚いたんだよ」鼻息を荒くして小声で話す和也。
「いや、実力テストの点数がいくら良くたって……本番のテストで良い点を取れなきゃ意味がないじゃないか」
俺の言葉に、和也はにぃっと笑った。
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