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「でも、たいしたものですよね。おとり捜査に生徒手帳とは。目から鱗です」
後輩刑事が三俣をパトカーの後部座席に乗せ、助手席のセーラー服姿の真下刑事に感心したように言った。
「こいつは防犯カメラのないホテルを選んでは、女子高生を食い物にしてきたから、わたしは許せなかった。やり方が姑息過ぎるのよ。SNSでは女子高生に扮したおとり捜査官が紛れてるなんて、捜査の邪魔になる噂が立ち上って。だから、こいつは一旦鳴りを潜めちまった。そこで、思いついたのよ」
「デジタルがダメなら、アナログですね」
「そういうことよ。予想通り、こいつは生徒手帳という餌に食いついたわけ。そりゃそうよね。しばらくご無沙汰だったし、わたしの可愛いルックスが功を奏したのね」
「あーあ。俺もタイムスリップして、高校時代の真下さんに会ってみたいなあ」
「馬鹿なこと言ってないで、車を出して」
聖は生徒手帳の自身の顔写真を改めて見る。
うん。悪くない写真写りだ。
(了)
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