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Prologue
俺、結城 瑞希には一人の幼馴染みが居た。
俺はその子がずっと好きで片思いして10年以上になる。
幼稚園の時から彼女が好きで、ずっと幼馴染みに近付く男には牽制していた。
そんなことにも気付かない幼馴染み、紫月 優羽。
俺みたいな重くてどうしようもない男に好かれた可哀想な女の子だ。
夏休みの暑い日、俺はスマホのメッセージアプリからゆうちゃんを呼び出してベッドで寝転がっていた。
ゆうちゃんはかなりの世話焼きで私が居ないとダメって思わせといたほうが近くに居て見ていてくれる。
俺はそんな彼女のお節介で親切心を利用して俺にしか目が向かないようにしている。
でもこんな関係性そろそろ終わらせてもいいかななんて思い始めてきていた。
「…瑞希、何のつもり」
呼んで1分でドアを開けて眉間に皺を寄せている俺の幼馴染み。
今日もすごい可愛い。怒ってても可愛いって何事なんだろう。
「あ、ゆうちゃん。下から冷たいお水もってきてー。もう動けない」
そう言うと怒った様子で「自分で行った方が早いでしょ!」と言いながらどたどたと足音を立てながら下に降りていく。
なんだかんだ俺の言う事を聞いちゃうゆうちゃんが可愛い。
分かってないんだろうな。俺がゆうちゃんに会いたいがために全力で動かないようにしてるの。
ゆうちゃんは極度のお人好しで世話焼きだ。
だから頼みごとをされると断れないし、そこを利用してしまう。
ゆうちゃんが少しして水を持ってくると俺は身体を起こして「ありがとう、ゆうちゃん」とお礼を言う。
近くまで来たタイミングで飲ませてなんておねだりしてみたけど流石にそれは拒否された。
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