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▼ △ 「あー、お腹いっぱい。楽しかったー。 あれ。駅ってどっちだ?こっちか?」 「どこ行くん、先輩。こっちですよ」 「にしてもさぁ、今日のお店すっごく良かったよね」 「ね。お洒落やし、ご飯美味しかったし、プロジェクター貸してくれたし」 「そーいえば。 あの送別の映像って、誰が作ったんだろ? BGMとか完璧で、ウルっときちゃったよ」 「俺」 「え!?すご」 「前から立候補しとったの。 ……先輩のことも、含まれると思ってたから」 「えぇ…………そうなんだ、ありがとう……。 いやーほんと、私も送別される側のつもりだったのになぁ」 「……ほんまに嬉しい。先輩の4年目続投」 「でもやっぱりさぁ、そんな選抜あるなんて事前に言われてなかったよね? もー、部長の説明漏れだよ。絶対」 「…………先輩」 「んー?」 「可愛いですね」 「えっ…………キャラ変?」 「変わってないよ。ずっと思っとったもん」 「……恥ずかしいから、口に出さないでいいんだけど」 「無理。止まらんから。 可愛い。可愛い。可愛い」 「あーあ……神崎くん、壊れちゃった」 「ひど」 「ねぇ。私、こっちから帰るね」 「え、なんで。駅そっちやないですよ。 もうすぐ着くのに」 「いや、もう一駅分歩こうかなって。 だから、また週明けね」 「……一人になりたい気分?」 「そういうわけじゃないけど」 「なら、俺も一緒に行っていい?」 「いーけど……大丈夫? 30分くらいかかると思うよ」 「余裕。行こ」 「なんかさ。 送別会楽しかったから、無性に歩きたくなったんだよね」 「あー、ちょっとわかるわぁ。 余韻で体が動いてまう感じね」 「……あ」 「え、何?忘れもん?」 「私さぁ、」 「う、うん」 「『神崎くんのこと好きか?』って聞かれたら…… 正直、よくわかんないんだけど」 「え。え。突然の核心?やめてよ」 「でも……でもね。 神崎くんに『わかる』って言われるの、好きだよ」 「え……『わかる』?」 「ウン。神崎くんさ、 私が『こうだよね』みたいに言ったら、 『わかる』とか『良いね』とか…… 共感したり、肯定で返してくれること多いでしょ」 「うーん。そうなんかな。 否定してまうことも、多いけど」 「あ。別に、否定でも良い」 「……どいうこと?」 「いや……私さ。 『変わってるね』って言われて、結局分かり合えなかったってことが、よくあるんだよね。 あ、別に深く悩んではナイよ」 「うん」 「そう言われると……諦めちゃうっていうか……。 もちろん、伝える努力をしない私が一番悪いんだけど……」 「ううん」 「だからね。……うまく言えないな。うーんとね、」 「あの、ゆっくりでええですよ」 「……えへ、ありがと。 だからね……共感でも否定でも、神崎くんが返してくれるとね。 『私の感覚、ちゃんと伝わってるんだな』って感じて、嬉しくなるの」 「……そう、なんや」 「あ。今、『それが何?』って思ったでしょ。 私も思う」 「思うんかい。 思ってへんよ、俺は」 「うはは。 ただ、なんとなく…… あの日の答え、今なら違うかなぁって」 「答えって?」 「"私にとっての神崎くん"。 大事な"後輩"っていうのは、変わってないんだけど……」 「…………うん」 「でも、それだけじゃなくて……。 "私の一番の理解者"って感じ、かも?……なんてね。 ごめんね、つまんない話をつらつらと」 「いや……いやいや。つまんなくないよ」 「……そう?」 「だってそれ…………結構……いや、 かなり嬉しいんですけど」 「えへへ。 やっぱり、"居てくれて良かった"って思うよ。心から」 「それでも……好きとはちゃうんですよね」 「そ……れは…………わかんないけど……まだ」 「……先輩」 「はい……」 「俺、待っててもいいの?」 「…………………………」 「…………………………」 「…………いつになるか、わかんないよ?」 「うん」 「もしかしたら……良い結果にはならないかも」 「うん。いいよ、それでも」 「………………待っててくれるの?」 「うん。いつまでも待ってる」 ▼ △
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