02.絆されて、

16/17
前へ
/44ページ
次へ
「泉のこと…、好き、なんだけど。」 見つめあった瞳がパレードの訪れとともにキラキラと輝く 喧騒の中でも高良くんの声だけが何故だかクリアに聞こえた 「なあ、俺と同じ気持ちじゃねえの?」 すごく近い距離で高良くんがあたしへと問いかける。ドキドキしすぎて心臓が今にも飛び出してくるんじゃないかって、そんなことを心配するくらいうるさい。 いまだ逸らすことのできないその綺麗な瞳が、好きだなって思った。 他にも、数え出したらキリがないくらい、いつのまにか好きだなって思うところが沢山増えていた。 こんなのもう、認めるしかない。意地になる必要なんてどこにも無いじゃん。 パレードがはじまって、人々の視線はそっちに釘付けなのに、あたしたちだけ互いの目を見つめあったまま、時が動かない。 「…うん、、好き。」 その言葉を発した瞬間、勢いよくあたしよりも大きな腕の中に体が包まれる。 早鐘を鳴らす心臓の音は、どっちのものなのか。 多分これはふたりの音だ。 「泉、好き。めちゃくちゃ好き。俺の彼女になって。」 甘い囁きがあたしの鼓膜を揺らした。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加