気高き金木犀

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短いポニーテールに、金木犀の髪飾り。 下に目を向けると、セーラー服に、スラックス。 「塩見くんおはよう!」 「おはよう。藤本さん。」 俺の鼓動は少しだけ早くなる。 きっと、彼女のことが気になっているから。 「昨日の数学の課題、解けた〜?」 「・・・実は昨日の数学の授業、寝てて課題出てたこと知らなかったんだよね・・・」 「ちょっとー!寝ちゃだめでしょ!」 そう言って彼女はふわっと笑う。その顔にまた、鼓動が早くなってしまう。 塩見新(しおみ あらた)。高校2年生。 想い人・・・とまでは行かないけど、気になってる女子がいます。 それが、目の前にいる彼女。 名前は藤本圭(ふじもと けい)。 席が隣になったのがきっかけで、話すようになった。それまでは話したこともなかったけど、話すと意外と楽しくて。そして、いつの間にか彼女のことが気になるようになってしまっていた。 そして、彼女はほかの女子と少し、違うところがある。 それは、スカートじゃなくてスラックスを履いているところ。 基本的にこの学校はスカートを選択するのもスラックスを選択するのも自由だが、ほとんどの女子はスカートを履いている。学年でも、スラックスを履いているのは藤本さんただ一人だった。 理由を聞くつもりはない。触れられたくないことかもしれないから。 でも、トランスジェンダーってわけじゃないと思う。話すのは基本的に女子ばかりだし、可愛いペンケースも使っている・・・って、気になる人だからって見すぎか。 とにかく、藤本さんがスラックスを履いている理由は、楽だからとか、そんなところだろう。
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