読むと…

1/1
前へ
/1ページ
次へ
 その本を読むと自殺する、とまことしやかに言われている本がある。何というタイトルか、とか著者は誰か、とかはあやふやであったが、あるルポライターが、噂を元になんとかその本を手に入れた。その本は「明日へ」というタイトルで、著者は久米賢治という人であった。特におどろおどろしいオーラなどはなく、ごく普通のハードカバーの本である。ルポライターは訝しながら本を机の上に置いた。夕食を食べてから、寝る前に読むつもりだ。ルポライターは夕食を食べながらその本について思いを馳せた。怖い噂についてはあまり信じてないようだ。しかし、何人かが死んでいるのは事実である。夕食を食べ終わり、ルポライターは書斎の机のところへやって来た。さっき置いた場所にそのままある。(よし、そろそろ行くか)と自分を奮いたたせ、その本を手に取った。ページをめくる。どんどん本に夢中になっていく。翌日、ルポライターの首吊り死体が発見された。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加