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うーん。せっかくよく眠っていたのに。暗闇を探りスマホの電源をつける。
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こんな時間に外で騒いでいる奴でもいるのか。何か大きな音に起こされた気がするのだけれど。カーテンを細く開けて道路を除いた。でも誰かがいる気配は感じられない。隣人などかもしれない。疲れて眠りが浅くなっているのか。寝直そう。
毛布をしっかり肩までかけて目を閉じる。おかしい。ここは最上階の3階で角部屋。真下は空き部屋。隣人は夫婦そろって年明けまで沖縄旅行のはず。背筋に冷たいものが走る。小走りで玄関まで向かい扉を開ける。廊下を見渡す。誰もいない。扉を閉めて鍵を掛け息をついた。そもそも音を聞いたと思ったのが気のせいだったのだろう。寝ぼけていたに違いない。寝直そう。
半開きになっている寝室の扉に手をかけ凍りついた。中に人影がある。肩甲骨あたりまである癖っ毛。背が低い割に全体的に丸い体つき。ドッペルゲーンガー。という単語が脳裏によぎる。ソレはゆっくりとこちらを振り向いた。顔を見るとより実感が増してくる。まさに鏡の像に実態を持たせたかのようだ。足が床に張り付き動かない。視線が釘付けになる。ソレが口を開いて近づいてくる。
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