群青に溶ける

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 長時間、中腰で作業をしていたので腰が痛くなり、私は腰に手を当てて天を仰いだ。 「あぁー……」    鈍い背骨の音と共に、自然と声が漏れる。  腰を拳で叩きながら体を戻して「ふぅ」と、大きくため息をついたところで、少し離れたところから若い娘が私に向かって手を振っていることに気が付いた。   「ばあちゃん、久しぶり~!」  リュックを背負い、大きなボストンバッグを持った若い娘が、ブンブン手を振りながら声をかけてきた。  その娘ときたら、膝の辺りから太ももにかけて派手に破れたジーンズに、丈の短いTシャツ姿。おまけに胸元まである髪の毛はくすんだピンク色をしている。こんな高齢者ばかりが住む住宅街にはまるで似つかわしくない格好だ。  その娘は、溌剌とした太陽のような眩しい笑顔を浮かべ、私の元へと駆け寄ってきた。  Tシャツの裾から素肌が覗いて臍が丸見えで、私は、最近の若者は……という気持ちになる。  知っている子かしら? と、その娘の顔を凝視した。  見覚えがあるような気もするが、なにせ今時のメイクがバッチリ施されており、素顔がまるでわからない。 「あなた……」と、私が目を細めると、その娘は「私、私だよ! ばあちゃんの孫!」と眉をさげて困り顔になる。  孫? 孫といったら一人しかいない。   「えっ? (すい)? あんた翠なのかい?」 「そうだよ! 久しぶり。来ちゃった!」  私は、孫の変わりように目を見張る。  最後に会ったのは確か、翠がまだ小学六年生だった六年前だ。  
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