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4.天使の羽根
天使の書に書いてあった。
天使が現れた人は幸せになる。
幸せだから、人に優しくできる。
幸せだから、自分を信じることができる。
街を抜け、巨大な廃墟が目の前に現れた。外壁の塗装のほとんどが剥がれ、灰色の壁面が露出している。壁の一部も壊れ、中が見えていた。
膝丈の草先が肌を刺す。構わず進んでいくと錆びたフェンスが行く手を塞いでいた。
左右を確認した。ルコが通った形跡がないか探す。
ないならそれでいい。ここで引き返そう。そう思って探していると、フェンスの近くの草が不自然に倒れているのを見つけた。
そこに行くと、ルコの天使の翼が付いた鞄が落ちていた。
「あいつ……!」
鞄を拾う。近くにフェンスの一部に、子供が一人通り抜けられる程度の穴があった。
きっとルコはここを抜けようとして、鞄が引っ掛かってしまったのだろう。それで鞄をここに置いて、自分だけ中に入っていたのだろう。
私は鞄を背負い、フェンスを乗り越えた。
急がないといけない。手遅れになる前に。
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