序章

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序章

 「はあ……はあ……」 傷口から血を流しながら、女は崩れ落ちる。その女に男が一歩ずつ近づく。  「これで満足か?」 男が女に尋ねる。  「ハハッ、これで満足ですって?バカを言わないで。私は使命を果たしただけよ」  「使命……」  「ええ、そうよ。この国が滅びる前に私の手で滅ぼす使命」  「……」 男は顔をしかめる  「下らないかしら?こんな理由で民が死んだもの。でもね、私はあなた達を絶対に許さない。たとえこの命が消えたとしても必ず滅ぼしてあげるから」 女は持っていた剣で己の胸に突き刺した。辺りに女の血が舞う。  「……アベリア、君の来世が平和であること願う」 男の呟きは息絶えた女の耳には届かなかった。  赤き月が夜の闇を照らしていた……
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