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本棚に追加花火
道に沿って永遠と連なる屋台。
屋台から香るソースの香り。
会場中に響くアナウンスの声。
今日は地元で花火大会が開催される日だ。
俺は集合場所に集まった人物たちを見て苦笑いをせずにはいられなかった。
いやー、本当になんでこうなったんだろう。
「これって何デートって言うんだろうね?クワトロデート?」
悠里が愉快そうに笑う。
「元々デートでも何でもなかったんだけどな……」
当初の予定は3人。しかしこの場にいるのは何故か8人。
俺、悠里、パッツン、山迫君、黒永先輩、東、茂野さん、浅葱君。
なんという歪なメンツだろうか。
「あれ?おかしいな……俺とパッツンと山迫君だけだったはずなんだけどな」
俺はチラリと黒永先輩を見る。
まるでデートでもしに来ているかのように俺の手を繋ぐ先輩だったが、この人は予定にない人物だ。
俺が視線を向けると、先輩は気まずそうに目を逸らして浅葱君に目配せをする。
黒永先輩からの合図を受信した浅葱君は、照れたように咳払いをすると、何か小声でゴニョゴニョと喋った。
「ヤマサコセンパイガイクッテキイタカラ……」
「え?」
「や、山迫先輩がこの花火大会に行くって聞いて、それでチャンスだと思って来ました……黒永先輩を道連れにして」
「あーーーそういうこと……」
視線をスライドさせるようにして山迫君に向けると、困ったように眉を下げて笑う彼と目が合った。
この2人はまだ犬と飼い主の関係を抜け出せてないんだな。
そういうことなら……頑張れよ、浅葱君。
それで黒永先輩と浅葱君はいいとして……
今度はパッツンの後ろに立つ、妙に気取った男に声をかける。
「で?茂野さんは?なぜここに?」
巻き髪を指に取ってクルクルと回す茂野さんは、サラッと髪を風になびかせると「そんなの決まってるでしょう?」とパッツンの肩を抱く。
「新に変な虫が寄らないように牽制しに来たんだ」
「ちょっ……そういうのいいですから!!」
「グフッ」
お約束の腹パンを食らった茂野さんはその場にうずくまる。
その途端にパッツンはハッと顔色を悪くし、「またやっちゃった……」と頭を抱えた。
この2人も……相変わらずだな。
「そ、それより、なんでビッチもいるわけ?」
まるで自分の行いを誤魔化すようにパッツンは隣で悠長に騒ぎを笑いながら見ていた悠里に的を変える。
「ビッチ呼びはヤダな〜悠里って呼んでよ」
「ふんっ!なんで僕がそんなことを」
そっぽを向いてしまったパッツンに、悠里はクスクスと笑う。
「それで俺たちがなんでここにいるかって?それはご覧の通り、東と花火デートしてるからだけど?そしたらたまたま緒里を見かけたから寄っただけ。ね、東?」
前髪が以前よりもスッキリとした東は悠里の問いかけにコクリと頷く。
ほーん、こいつら普通のデートもするようになったのか……
って……そんなこと考えてる場合じゃなかった。
「さすがにこの大所帯じゃ移動が大変そうだけど、どうする?」
「うーん、自由行動とか?」
パッツンの言葉に頷きそうになる。ここまできたら逆に自由行動の方が楽そうだ。
あ、でも自由行動にしたところで、俺とパッツンと山迫君が離れない限り黒永先輩と浅葱君と茂野さんは一緒に着いてくるだろうし、悠里もこの状況を面白がって着いてきそうだし。
そうなると結局団子になって移動する羽目になるな……
どうしようかと悩んでいると、ここで浅葱君が挙手する。
「あの、いいですか?」
「どうぞ」
「2人ペアになって食べ物を買って、また集合するのはどうですか?」
「それがいいな」
ずっと黙っていた先輩が突然その意見に賛成する。
そして俺を握る手に力が込められた。
先輩もしかして俺と2人になりたいのか?

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