アーリーリタイアな生活

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「……暇だ。息が詰まる」 藤島さんからカードキーを渡されていないから、家から出る事ができない。 買い物はネットショッピングで済む環境が整えられてる。 スーパーとクリーニングがマンション内に併設されれていて、24時間いつでも利用できる住民専用ネット対応サービスがあり、家から一歩もでなくても生活が送れる。 藤島さんの自宅マンションはGoogloが入っているオフィスビルから徒歩5分圏内のタワーマンション中層階。 出歩くと元同僚と鉢合わせる危険性もある。 私が引きこもり体質だから家の環境が整っていたら飼育可能と思ったかもしれないが、家に引きこもり何もしない生活は苦痛で全身蕁麻疹が再発しそう……。 「萌花さん、週末、どこか行きたい?」 「東京から出たい」 「……1泊2日で旅行に行こうか」 アーリーリタイアの生活を送ってるけど、家に引きこもりたかったわけではない。 藤島さんの家での居候生活。 気づいたら3ヶ月経っていた。 「萌花さん、他人行儀だから、俺の事、そろそろ下の名前で読んでくれないかな?」 「か、翔琉さん!?」 「……下の名前、覚えてくれてて良かった」 上司じゃないからと“さん”づけで呼ぶのも慣れるまで時間がかかった。 私に対してこれでもかってぐらい大事に扱ってくれてる翔琉さんに対し、今だに恋愛感情がわかなかった。 「……このままお世話になってていいのかな」 生活費どころか衣服費や娯楽費も翔琉さんは私に一切払わせない。 息苦しさを感じるようになった。
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