179人が本棚に入れています
本棚に追加
彼が私を囲いたいわけ
「翔琉さん、家の鍵を持たせて貰えませんか?」
クリスマスが近づき、東京の街はイルミネーションで幻想的な空間になる。それに、たまには1人で外食をしたい。
「必要?」
「暇だからランチ行きたいし、イルミネーション見に行きたい」
「仕事調整するからLINEして。付き合うから」
「1人で行きたいの」
「……わかった」
不本意そうだけど、翔琉さんは私にスペアのカードキーを渡してくれた。
週末にプチ旅行に連れて行って貰ってるから平日に引きこもってても息が詰まる事はない。
働いていた時は仕事が多忙過ぎて、家でのんびり過ごす事が至福のひとときだった。
「渋谷って人が溢れてるよね……」
特に用事はない。
だけど、せっかくだからランチに行く事にした。
「さ、佐倉さん!!」
渋谷駅直結のショッピングセンター内のイタリアンレストランでパスタを食べてたらGoogloの時に同じグループだった益岡さんに声をかけられた。
「佐倉さん、東京に戻ってらっしゃったのですね?」
「う、……うん」
私の前の席に座った益岡さんが店員さんに日替わりランチをオーダーし、私に話しかけてくる。
「希望退職するなんて酷いですよ。辞めて電道に行かれたせいでクライアント先が一時期154社も居なくなったんですよ。でも佐倉さんが電道を辞めらてたらすぐに戻ってきました」
気にはなっていた職場の状況を教えてくれる。
最初のコメントを投稿しよう!