彼が私を囲いたいわけ

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「仕事が回らないから佐倉さん、戻ってきて下さいよ!!」 「無理よ。希望退職で退職金貰ったし」 私を慕って下さってたクライアント先の方々には申し訳なく思うも、広告代理店の仕事はもうやりたくない。 「藤島マネージャーに言えばなんとかしてくれますよ!!電道の時にしていた請負契約で案件を引き受けて下さいよ!!」 堂本さんみたいに脅してきてはないけど、脅されてるように感じる。 「益岡、飯食ったなら社に戻れ!!未提出の仕様書溜まってるだろっ!!」 翔琉さんがイタリアンレストランに入ってきて益岡さんを追い払ってくれた。 「萌花さん、帰ろう」 イクラとスモークサーモンのクリームパスタ、半分も食べてない。 益岡さんが来たから手をつけられなかった。 ショッピングセンターを出てタクシーに乗り込み、翔琉さんのマンションへ戻る。 歩いて15分の距離だけど、人目を避けるためにタクシーに乗った。 「翔琉さんも私にGoogloの仕事をさせたくて、今、こんなに親切にしてくれてるの?」 直ぐに仕事に戻らないといけない翔琉さんに思わず、声をかける。 「Googloに戻ってこなくていいから。萌花さんの事が好きだからだから。なんか、ごめん。萌花さんの事を部下に何も打ち明けてない。堂本みたいにしつこく付きまとったりはしないと思うが今日みたいな事がまた起こるかもしれないから、平日昼間は家の中に引きこもっていて欲しい」
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