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心臓
「そーいやさ、中学の時さ、一緒に肝試ししたよな!! 懐かし〜!!」
そんな一言を告げてアイツの顔を見れば、何処か悲しそうな顔をしていた。今まで見たことのない表情で、どうした? と驚きつつも首を傾げる。タピオカを地面に置けば、立ち上がり僕の頬をゆっくりと撫でた。
「なぁ、まだ気付かないの? そろそろ気付けよ」
そのまま抱きしめられる。心臓の音は聞こえなかった。ただ自然の音が聞こえるだけ。それを自覚すれば、アイツの体温が冷たいのに気が付く。
「……は?」
この状況に理解出来ない訳ではない。聞こえない心臓の音に、冷たい体。死んだ、ということだろう。だが、納得がいかない。だって、毎年会っていたし、手紙も届いていた。コイツが死んでいるというのは納得できない。すると、コイツがポケットから何かを取り出せば、これなぁんだ! と紙を取り出した。そこには、汚い字で手紙が書かれていた。僕がコイツに出した手紙だ。
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