戯曲

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戯曲

青年は今日も真実を綴る。 一日のうちに味わった全ての感覚。朝日の眩しさ。子どもたちの騒々しさ。焼けるパンの香ばしさ。新調した服の着心地の良さ。良薬の苦々しさ。 それらは、あるいは彼にとっても慣れ親しんだものであっただろう。それでも彼には文字にする必要があった。 この多様な言語に満ちた世界で、言葉一つひとつについて思案しながら、長く時を費やす。 そうして造り上げられた文体は、誰が見ても儚く、美しいものであった。
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