エピソード1. 緑茶と最中

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この最中は最中の皮とあんこが別々に個包装されており、自分で最中の皮にあんこを入れる形式のものだった。 最中の皮の上にあんこを絞り、もう片方の最中の皮を上に乗せ、挟み、軽く上から押さえると口に運んだ。 皮がぱりぱりで、あんこの程よい甘みが口内に広がった。とても美味しい。 そこに、佐倉が入れた緑茶を流し込む。 佐倉の入れるお茶はいつだって完璧に美味しい。 佐倉は、水沢が来る以前から座っていた場所に戻ると、紙を何枚か組み合わせ、ホチキス留めする作業に戻っていた。 静かな室内に、サッサッサッと紙を捲る音とパチンとホチキスをとめる音とが交互に鳴り響いていた。
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