エピソード1. 緑茶と最中

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エピソード1. 緑茶と最中

生徒会副会長の水沢(みずさわ) 七瀬(ななせ)は今日の放課後もいつも通りに生徒会室に(あゆ)みを進めていた。 生徒会室の扉を開けると、真ん前に生徒会長、清宮(きよみや) 美登利(みどり)の机と椅子があるのだが、そこに美登利の姿はなかった。 部屋の中には、生徒会会計の佐倉(さくら) 玲二(れいじ)が一人机に向かい、紙をホチキス留めする作業をしていた。 水沢の気配に気付いたのか、佐倉は持っていたホチキスと紙を机の上に置くと、顔を水沢に向けた。 「あっ、水沢先輩お疲れ様です。えっと、緑茶でいいですか?今日は(いただ)き物の最中(もなか)があるんですよ。」 「あ、うん...ありがとう。 で、佐倉、美登利は...?」 「会長は、今日はプライベートの予定があるとかで...」 「ふーん、そうなんだ。」 美登利が生徒会以外の自分の事を優先させるのは珍しい。
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