330人が本棚に入れています
本棚に追加
その日も、いつものように光汰は月夜に会いにきた。
「今日は町で飴を買ってきた。お前に食わせてやろうと思ってな」
そう言って光汰が差しだしたのは青、赤、黄と色鮮やかな飴菓子だった。
「ありがとう、お兄さま」
月夜はにこりともせずにそれを受けとる。
光汰はにやにやしながら月夜に顔を近づけて、おもむろに手を伸ばす。それから月夜の髪を撫で、頬を撫でた。
月夜はぞわっと鳥肌が立ち、思わず振り払ってしまいたい衝動をなんとか抑えた。
「お前、ずいぶん大きくなったな」
「もう17になりますから」
「そうか。もう嫁に行く年頃か」
光汰が月夜の腕をつかんでじっくりと見つめる。
「お兄さま?」
「月夜、お前は美しいな。こんな白い肌をした女を俺は見たことがない」
まただ。兄は最近、月夜の身体に触れながらそんなことばかり言う。
月夜は兄の手を振り払って顔を背けた。
最初のコメントを投稿しよう!