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「 小説『天使』が、今日発売されます」
ラジオのアナウンサーがいった。
「文豪・角谷才二の十年ぶりの書き下ろし長編小説です」
「はっ、おれは、カミナリが体に落ちたような衝撃をうけ意識をうしなったのでは」
不思議な体験をしたおれは、怖くなり声にだして状況を確認した。
おれの背中を鏡で確認した。「おかしいところはないな」
髪もコントのようにアフロにはなっていなかった。
「いつもの道で通勤するとあぶないのか」おれは考える。
「よし、すこし遠回りになるけど、川沿いの道をとおり出勤しよう。そして、わすれずに新刊を買おう」
おれは今日の予定を声にだし、部屋をでて鍵をかけ、二度三度とドアノブをまわし、しっかりと鍵がかかっていることを確認した。
部屋にのこされた西洋絵画の天使の顔が「くそッ」とつぶやいた。
その悪態は、家をでた瞬間に犬のクソを見つけたようである。
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