新刊『天使』

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「 小説『天使』が、今日発売されます」 ラジオのアナウンサーがいった。 「文豪・角谷才二の十年ぶりの書き下ろし長編小説です」 はっ、と部屋にたちすくんでいることに気づく。 いやな音と、絶望的な痛みがのこっているように感じられる。 「歩いて会社にいくのはダメだ」 「車で会社にいき、大型の書店により新刊を買おう」 おれは、玄関の鍵だけでなく、車の鍵も手にもち部屋をでた。 部屋の扉の鍵をかけるのを忘れた。 あわててもどり部屋の扉のまえにもどり、しっかりと施錠したことを確認した。 「けっ」愛くるしい天使の唇から、アウトローな声が飛びだした。
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