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俺も竹中も教師に捕まえられた。俺は停学となり竹中は退学処分となった。詳しくは聞かなかったが、竹中が退学になったのは素行不良の影響もあったようだ。
俺が停学中に家で事件のことを後悔している時に、郵便受けに五十万が届いた。俺は大量の札束に目を疑った。正直、本当にもらえるとは思わなかった。
俺は最初は生きていくための生活費に充てようと思った。でも、教師に叱られた際にお金はもらってはいけないと言われていたので、俺は学校に届けて、教師から竹中に返してもらうことにした。
停学が明けて学校に復帰すると、俺は高橋と片山に地面に額をこすりつけて涙を流しながら謝った。
二人ともそこまでしなくていいと言ってくれて、俺を許してくれた。しかし竹中に関しては絶対に許さないと二人は言っていた。俺も二人に酷いことをしたと思って、竹中のことを恨んでいた。
それから八年が経った。高橋は自らを助けてくれた片山に深い愛情を覚えて、二人は結婚することになった。事件が二人の距離を縮めていたようだ。
風の噂によると、竹中は学校を退学すると他の学校に転校することはしなかったようだ。人を傷つける命令を出す悪魔と風評が流れて、また退学になるのを気にしたのだろうか。
犯した罪がどこまでも影響しているようだ。竹中は精神をやられて廃人と化したという話まで出ていた。
二人の結婚式に俺も招待されて行くことにした。ウェディングドレスを着た高橋はとても綺麗で、満面の笑顔だった。片山は緊張した面持ちだったが、笑顔が溢れていて結婚式は盛況のうちに閉幕した。
最近は良くないニュースばかりだ。警察と闇組織との癒着が問題になっている。
だけどはっきりとした証拠がないらしい。そんな時にこんなに楽しい結婚式は気分が晴れる。
二次会に参加して家に帰ってきた時はさすがにぐったり疲れた。二人が結婚したのが嬉しくて、結婚式も二次会も酒をかなり飲んだ。
そんな時に俺のスマホの着信が鳴った。知らない番号からで、こんな遅い時間に誰だろうと不審に思いながら電話に出た。
「竹中凛の母です。石川楓さんでしょうか?」
突然の竹中の母親からの電話に俺は酔いが吹き飛んだ。竹中の母親だと伝えられてもすぐには信じられなかった。
竹中本人はどうしたのだろうか。そして母親の話を聞くと、耳を疑う衝撃的な事実を伝えられた。
竹中が自宅のマンションの屋上から飛び降りて自殺した。
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