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第1章 悲惨なはじまり
この日、恐ろしい未来を予知した。
古い本が立ち並ぶ書斎のような部屋だった。
窓からのは大粒の雨が横殴りに振っているのが見える。
そして、部屋の中心に哀れな姿で倒れていたのは、この国一の公爵家当主の姿だった。
「お祖父様……!?」
アリエルが見たのは、自分の祖父が血だらけで死んでいる姿だった。
アリエルの祖父、ジェラルド・ブランシャールは、父もなく幼くして母を亡くしたアリエルを育てた、アリエルにとって親のような存在だ。
そんな存在の祖父が死ぬ未来を見たのだ。
アリエルは動揺を隠しきれず、一目散に屋敷を飛び出した。
「お嬢様!?どちらへ!?」
自分を引き留めるメイドや執事の声は、アリエルの耳には届いていなかった。
ジェラルドが倒れていた場所に、アリエルは覚えがあった。
あそこは年に一度だけ訪れるジェラルドお気に入りの別宅のひとつだ。
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