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スケーイトの居なくなったペット、壁に空いた穴を見て思わず、「クソッ!!」 っとをベットを殴るが、自分の手が痛いだけだった。
「あの黒髪のっぽの、魔術師め覚えていろよ」憎々し気に言い捨てる。
手順を踏まなければ、この村から出る事は出来ない。村自体は、小さいの教会を中心に探すが動いている人間を探すの難しいだが、見つけた。
最初の本の所有者であの女だ。
「久しぶり」
そう声をかけるが、警戒心の籠る目で見つめて来る。視線が痛てえ。
「君は昨日、教会の前を歩いて居たよね。その時君はある本を持っていた、間違っているかな?」
彼女は、俺の身なり本の所有の有無を素早く観察する。でも、それは一般人の無遠慮なそれで、まだ心配する段階ではないようだ。
「もしかして、今、あなたがあの本を持っているの?」
「いや、仲間が持っている。だが、今日の朝そいつは本を持って居なくなった」
「あぁ~、どうしょう。本当に?」
彼女は、文字通り頭を抱え込んでいる。
「ちょっとこっちへ、来て」
彼女は、お茶売りからお茶を買ってくれ俺に持たせる。今回の問題は、彼女のせいだから俺はお金は払わない。
そして近くのベンチへ座らせられる。
「落ち着いて聞いてね。貴方はここへ来たばかりの様だから知らないかもしれないけれど、ここへ入ったらもう出られないの、死ぬまで永久にね」
「それはだいたい知っている」
「それにしては、ずいぶん落ち着いているのね」
彼女は、目をパチパチさせて俺を見る。
「いいから、続きを」
「あぁ……そうね。ごめんなさい。止められた水が腐るように、閉鎖され太陽もないこんな空間で、人が正気を保ってられる期間は、少ないのよ……だから私達を閉じ込める力と教会の力を使った。まぁ。考案したのは、背の高い黒魔術師だったんだけど彼は、魔物からある本を生成する事に成功した。それが、あの本の原型ね」
今度は、こっちが頭を抱える番だった。最悪な事にこの事件に黒魔術師が絡んでいるとは、黒魔術師は、善良な者でも悪質な者でだいたいやつらが行った事には何らかの厄介事が残される。
だが、それは根本的に黒魔術師しか退かせる事は出来ない、だから教会は黒魔術師を飼わねばならない。
はぁ……っと、大きなため息をつく俺に、女は、「お茶の飲むなら今よ」と、言うが「いや、まだまだ厄介な事があるだろ……」と言うと、「まぁ、そうね」と、女は軽く言う。そこは否定しろよ……。
「あの本の材料は、家庭料理の材料位、簡単な材料で作れるらしいの、そして時が来たら教会の鈴がリンリンて、鳴って誕生の時を教えてくれる。教会は、その本をノートに書かれた者のポスト入れさえすれば教会のお仕事は終了。受け取った者も教会に持って行けば終了。教会で邪気は払われるわ」
「黒魔術師が、絡んでたらそんな簡単なもんじゃすまないだろう……。俺はこの村の歴史には、興味ないから要点だけを言ってくれ」
「その前に、お茶を飲む?」
「いや、まだだ」
「要点を言うと……巡り廻ったあの本は、集めた邪気を集めて、生贄の貴方のお友達と一緒に、私達を閉じ込めている何かを復活させようとしているわけ」
「よし! お茶を飲もう」
飲んだお茶はタンニンが、大暴れしている味だった。
「なんで、こんなにまずいんだ……」
「それはここでこの空間から出られないって聞いた人が、失神しそうな時飲ませるやつだからよ。復活した?」
「おかげさまで、でも、何でそんな危険な物を進んで作るんだ?」
「それは黒魔術師を呼び寄せる為よ。黒魔術師は、私達に出る方法を教えてくれたけれど、すべての人が行える業ではないと言う認識はあったの。だから、黒魔術師の法則を残していく事にした。1人目の不始末には次の黒魔術師が正すことになる。だから初代が、私達を閉じ込める元凶を破壊するアイテムを残し、今、そのアイテムで破壊する黒魔術師とその時が満ちるのを待っているわけ」
「だが、今、肝心の黒魔術師が元凶に飲まれかけようとしてるがな……」
「うそ!? 大変じゃない!!」
「お茶飲むか?」
「いたただくわ、ってまずぃわぁ……なんなのこれ? 私、ここで生まれたか飲んだ事なかったわ」
「それは何より、じゃ……元凶のところまで連れて行ってくれ! 追いついて行って本を取り上げる。そしてお前らは次の黒魔術師を探せ!」
それから女は、大工が使っている資材運び用の馬と大工を調達して、俺達を元凶の太陽を飲み込んだ魔物のいる人知れずの谷に誘導する。
「なんで、お前までついて来るんだ?」
「あの本は祖父に送られて来たものなのよ、ほっておけないじゃない!」
女は髪を押さえながら、うるさい馬車の上で大声を張り上げている」
「お前のじじは、邪気ため過ぎだろう!」
「えっなんですって!?」
荷馬車の後ろに座り、荷台座りこみなが板にもたれかけたかけた体を、少し持ち上げ、話している女に手の平を見せたのち、ピョンピョン跳んでいるのっぽを指さす。
「どうするの?」
俺は荷台をよちよち歩くと、「こうする――!!」といい荷台に置いてある馬用の固められたほし草を、ぶん投げた。
「正気!? 貴方、友達殺す気!?」
「俺の役目の半分はそれだ」
馬車を止めて、こちらには絶対に近寄りなと言って荒縄を持ってスケーイトに近づく。まだ、息はある、体も変な風に曲がってないか……よし! 大丈夫だ。
☆★☆★☆★☆
荒縄で、グルグル巻きにしらスケーイトの頬をはたいて、起こすとやはりこちらを憎しみのこもった目で見て来る。
「大丈夫か。これを飲め……」
こいつにゆっくりそして最後、ド――ンと飲ませる。
例の気つけ茶飲ませるのは、最初は楽しかったが、まずくて盛大に袖に出されてなんだか萎えた……。
「ペシアお前、私に何飲ませるのだ!?」
そして激しく咳き込む。
「ここはどこだ、この荒縄……、ペシアお前まさか……!?」
「何がまさかだ、この馬鹿が!!」
スケーイトの頬を片手で、両側から掴む、いつも真面目なこいつの口がアヒルみたいになる。でも、本人は真面目なんでキラキラした目で俺を見て来る。
「ぐほぉっ!アヒル、おもろっきらきらおめめのアヒル最高に笑える!……ふぅ……。おい!女かわりに説明してくれ」
「リシアって名前が、私にもあるからそっち呼んでもらえる?」
「わかったリシア、アヒルの事、お願いする。ぐフィ」
「あぁ……そうだ、あそこに本を置いたから近寄るなよ」
石が叩く積みあがっている場所を指さす。
「初めまして黒魔術師様、まずお茶をどうぞ」
リシアは、グルグル巻きにされた、スケーイトのひざの上にお茶を置いた。鉄板のネタなのか、操られた時用の気つけ茶なのか悩む。
スケーイトとは一度、操られているのだから、敗北を認め帰るべきだが、あいつは絶対正義マンだから素直に帰るだろうか……。
「終わったわよ――!」
「わかった今、行く」
ゆっくりとスケーイトの元に歩み寄る。これだけの時間が、あればこいつの頭も冷えるだろ。おれの足元には荒縄でぐるぐる巻きにされ、大きな石にもたれかけさせられた髪の長い、黒魔術師、スケーイトがいる。(お茶を浴びている)
「ペシア、太陽を吸い込んだ魔物を倒そう!」
スケーイトは、曇りのないまなこで言う。嘘だろ、おい!
「スケーイト、お前は今の状況をわかって言っているのか?」
「僕に考えがあるんだ。この縄をほどいてくれ」
魔物の事は、黒魔術師しかわからない。俺達、孤児院出は、頭に叩き込まれる。だから死ねと言わればそうするしかない。
ではなければ、孤児院の出の成績の悪い子どもが2人死ぬことになる。
そして決着は、あっけなく着く事になった。
スケーイトが、ありったけの炎の柱を、全体に打ち込み相手の戦力を削ぎ。
そしてスケーイトの最大の魔法『七つの大罪』を放つ。『暴食』大きな球体が現れ、そいつが魔物を球体状に体を喰らい。『虚飾』が毒の雨で魔物の皮膚から、色とりどりの毒で汚染していく。七つの球体が、それぞれに違う禍を引き起こしていく。敵の魔物が、苦しさなのか波打つのがわかる。
ちなみに今、十まで考えているらしくその内、13のわざわいとか言う名前に、バージョンアップされるかもしれない。
「ペシア、頼む!」
スケーイトの声とともに浄化された本を次々投げ入れる。禍を集めた本が魔物を復活させるなら、浄化された本はその逆の作用が生まれる。そんな理屈らしい。
しかしそれが案外間違っていなかった様だ。
断末魔が聞こえる。それとともに、激しい空間の揺れを感じる。
「二人とも見て!」
空の白夜がほころび始めている。次々に音を立てて落ちて来る白い世界。白い空は世界を白く染め上げて、俺達の足元へ落ちていく。
「ありがとうふたりとも! やっとただしき生きる姿に生まれ直せる!」
リシアの声がした。そして何人もの白い影が俺達の横を通り過ぎる。
夜空の下に、残されのは1冊の本、『千夜一夜物語』
その本を拾い、スケーイトに見せる。こいつは、後ろに3歩さがる。そして俺とスケートの鬼ごっこは、ぶちぎれたラクダが迎えに来るまでつづいたのだった。
おわり。
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